※本稿は、安斎響市『1%の気くばり』(大和書房)の一部を再編集したものです。
必ずしも、「結論から話す」が正解とは限らない
気くばりできる人は、相手ファーストで話し、できない人は、すべて結論ファーストで話す
相手に合わせて伝え方を変えるには?
●「ちょっといいですか?」ではなく、「何の件で何分ほしいのか」を伝える
●「急ぎでお願いします!」ではなく、「何日までに必要なのか」を伝える
これらの例は、言い換えると、「結論から話す」ということです。
ビジネスにおいては、多くの場面で結論ファーストが求められます。
●報連相では、「何の件か」「結果がどうだったか」「何が課題なのか」という最重要部分を端的に話してから、そこに至る詳細や経緯の説明に入る。
●人事評価面談のフィードバックでは、今期の評価が良かったのか悪かったのかを最初に部下に伝える。そのあとで、理由や改善点を話す。
●営業報告では、商談終了後すぐに「契約が取れたのか、取れなかったのか」だけ上司にメールを入れ、内容詳細や今後のアクションについては後で伝える。
これらも、結局は相手に対する「気くばり」の範疇です。
相手は「良いニュースなのか、悪いニュースなのか」「自分は今何をすればいいのか」という結論をいち早く知りたいと思っています。
それ以外の付随する情報は、結果を聞くまではなかなか耳に入ってきません。
本質は、「結論から話す」のが大事というより、「相手が一番知りたい情報から話す」ことです。
相手がもっとも知りたい情報から話せば、追加で質問したり確認したりする必要がないため、結果的に仕事を効率化することにつながります。
相手の気持ちを真剣に考えているからこそ、「結論が先だな」という行動に至るのです。
状況を問わず、すべてのコミュニケーションが「結論ファースト」であるべきかと言われれば、実はそうではありません。

