会社でどんな人と積極的に交流すると自分の成長につながるのか。マーケティングコンサルタントで会社経営者の宮脇啓輔さんは「自分よりレベルの高い人たちと日常的に接していると自分の思考や行動の基準が引き上げられるが、かえって重要なスキルが身に付かないリスクもある」という――。

※本稿は、宮脇啓輔『できる人が大事にしている 複利で伸びる仕事術』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)の一部を再編集したものです。

メタ認知力を高める意外な方法

ビジネスの世界ではよく、「自分よりレベルの高い人たちがいる場所に身を置け」「上の人と関われ」「同期や年下と群れるな」と言われます。

確かに、高い視座と広い視野を持つ人たちと日常的に接していると、自分の思考や行動の基準が引き上げられ、良質なフィードバックや一次情報も得られます。だから成長スピードが一気に上がるのです。

これは間違いなく正しい考え方であることは、私自身の経験からも実感しているのですが、しかし一方で、私は「自分よりレベルの高い人とばかり一緒にいると、育たない能力がある」とも感じています。

それが「メタ認知力」です。

ここでは、なぜハイレベルな人たちと関わるだけではメタ認知力が育たないのか、そしてどうすれば鍛えられるのかを、私自身の経験を交えて解説していきます。

メタ認知力は自分への良質な問いかけで育つ

まず、「メタ」という言葉の意味を整理しておきましょう。

メタとはギリシャ語に由来し、「高次の」「上位の」といった意味を持ちます。何かの上位概念や、全体を俯瞰して見る視点を指す言葉です。

したがって、メタ認知とは「自分の認知を客観的に捉える」こと。つまり、「自分を上から見ているもう一人の自分」が存在し、今の自分の考え方・感情・行動を冷静に観察するような感覚です。

【図表1】メタ認知とは?
出所=『できる人が大事にしている 複利で伸びる仕事術』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)

このメタ認知力が身につくと、自分の感情や思い込みに流されず、常に客観的な思考と行動ができるようになります。たとえるなら、自分のなかに「もう一人の監督」がいて、自分をモニタリングしている状態です。

そのため、メタ認知力が高い人ほど、問題解決力やコミュニケーション能力が高くなる傾向があります。

ところがこの力は、自分より優秀な人たちのなかにいるだけでは育ちにくいのではないか、という仮説を私は持っています。

なぜなら、「自分に対して良質な問いを立てる力」が鍛えられないからです。

メタ認知とは、つまるところ「自分をよく知る力」。自分を知るためには、自分自身に問いを投げかけられるようになる必要があります。

「なぜ自分はこう考えたのか」「なぜこのタイミングでこの行動を取ったのか」と、思考と行動を自問自答し、掘り下げていく力です。

しかし、自分で深掘りできないと「なんとなく反省した気になって終わる」だけ。本質にたどり着けず、自己分析も表面的なままです。

単に「whyを5回繰り返す」だけでは足りず、視点を変えたり、抽象化したり、アナロジー(類推)を使ったりと、より高次な問いかけが求められます。

そして、自分よりレベルの高い人たちとばかり一緒にいると、この「自問自答のチャンス」が減ります。わからないことがあっても、すぐに答えをもらえてしまうからです。

結果として、「自分に問いを立てて、自分で答えを出す力」が育ちにくくなる。つまり、「答えを与えられる環境」に慣れてしまうと、自分に問いかける習慣がつかず、その結果、メタ認知力が磨かれない、というわけです。私自身、部下との1on1において、こちらから答えや問いを与えすぎてしまい、彼らが「自分に対して良質な問いを立てる力」を育てることを阻害していることに気づいた経験があります。