日照時間が短くなる秋冬は不足しやすい
「なんとなく気分が晴れない」「肩や首のこりがひどい」「十分寝ているはずなのに疲れが取れない」――。秋から冬にかけて、こうした不調を訴える方が増えてきます。多くの方は「季節のせい」「仕事のストレス」と片付けてしまいがちですが、実はその背景に、ある栄養不足が関係している可能性があります。
それが「ビタミンD」です。
ビタミンDは日光を浴びることで体内に合成されます。しかし、日照時間が短くなる秋冬は、どうしても不足しやすい季節です。加えて、デスクワークや在宅勤務の方が増えた現代では、日光を浴びる機会が大きく減り、この傾向にさらに拍車がかかっています。
近年の研究では、ビタミンD不足が「気分の落ち込み」「筋肉の張り・こわばり」「慢性的なだるさ」など、仕事のパフォーマンスを左右するさまざまな不調と関連している可能性が示されています。
もしも、原因のはっきりしない心身の不調に悩んでいるなら、それはビタミンD不足が一因となっているかもしれません。今回は、ビタミンDと心身の健康の関係、そして今日からできる対策について解説していきます。
脳・筋肉・免疫系に影響している可能性
ビタミンDと聞くと、多くの方が「骨を強くする栄養素」というイメージを持たれるでしょう。確かにカルシウムの吸収を助け、骨の健康を守る働きは重要ですが、実はそれだけではありません。近年の研究では、ビタミンDが体内で「ホルモン様物質」として機能し、全身のさまざまな臓器や組織に影響を及ぼしている可能性が示唆されています。
特に注目されているのが、脳・筋肉・免疫系への作用です。
脳内では神経伝達物質の合成に関与し、セロトニンやドーパミンといった「心の安定」に関わる物質の生成をサポートすると考えられています(Sabir et al., 2018;Pertile et al., 2016)。筋肉においては、筋力の維持や筋肉痛の回復に関与しており、不足すると筋肉のこわばりや痛みが生じやすくなる可能性が報告されています(Zhang and Li, 2024)。
さらに免疫システムにおいても、ビタミンDはウイルスや細菌と戦う免疫細胞の働きを調整し、過剰な炎症反応を抑える役割を担っていると考えられているのです(Konijeti et al., 2016)。
このように、ビタミンDは、単なる「骨のビタミン」という枠を超えて、私たちの心身のコンディションを総合的に支える、重要な物質の一つだと言えます。そのため、その不足は骨だけでなく、メンタル面や筋肉の不調、免疫機能の低下など、幅広い影響を及ぼす可能性があるのです。

