ビジネスで成功する人は何が違うのか。伊勢丹や鈴屋で海外事業などの立ち上げに関わった経験がある中野善壽さんは「簿記は重要だが数字が強いだけでは成功できない。数字と現場で感じたことを突き合わせて違和感がないか、簿記と感性のバランス感覚が重要だ」という――。

※本稿は、中野善壽『お金と銭』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)の一部を再編集したものです。

ビジネスマン
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ビジネスを成功させるのは有能な人ではない

ビジネスを成功させる強いリーダーの条件とはなんでしょうか。もしも私が問われたら、「弱さと欠点を自覚すること」だと答えます。

なんでも器用にこなせる有能な人ほど、自分の力を過信しがちですが、たった一人の人間ができることなんて、たかが知れています。周りを見渡せば、いつもものごとがうまくいって成功している人はいるかもしれませんが、それも運や縁のおかげであって、本人の実力は10%程度です。

私がいつも思いつきをすぐに実現できるのも、周りで拾ってすぐに動いてくれる仲間がいるからです。人前では堂々としているように見えるかもしれませんが、家に帰って一人になれば情けない人間です。

2018年にドイツのモンブラン国際文化賞をいただいたときも、個人ではなく法人としての受賞の形で、チームを讃えていただくようにお願いをしました。それまでこの賞は、個人に授与されてきました。

目には見えない力に感謝する

日本人ではオノ・ヨーコさんや小澤征爾さんなどが受賞されています。そのため、チームでの受賞は異例の扱いだったようですが、栄えある舞台で私を助けてくれた仲間が拍手を受けて誇らしい顔をしている様子が、私はとてもうれしかった。

忘れてはいけないのは、運や縁や恵みというものは“目には見えない”という事実です。目には見えないものを理解する努力は、欠かしてはいけないと私は思います。謙虚でいようと気を張る必要はなく、ただ単純に、無力で無知な自分を知って、見えない力に感謝する。

すると自然と、周りに人が集まってくれて、少しずつ力を貸してくれるようになるのです。その人たちとのつながりが、やがてチームとなって、事業で大きなことを成し遂げることも可能にします。

つまり、自分の弱さと欠点を知っているリーダーこそ、強いチームを生むチャンスを秘めている。だから私は、自分の弱さと欠点を隠さず、いつでも役割を分担してもらえる関係を築く努力を続けたいと思います。