※本稿は、司拓也『信頼される人の話し方 軽く見られる人の話し方』(KADOKAWA)の一部を抜粋・再編集したものです。
相槌は「あなたを大切に思っています」と伝える最強手段
「はいはい、そうですね、なるほど……」と、つい何気なく相槌を打っていませんか? 実は、これは「きちんと聞いていませんよ」と無意識に伝えてしまう、危険なサインになることもあります。
「相槌は誰でもできる簡単なもの」と思われがちですが、実際には奥が深いのです。
たとえば、あなたが信頼を寄せた営業担当や、話していて安心感を覚えたカウンセラーや医師のことを思い出してみてください。彼らは、必ずと言っていいほど、相手を思いやる温かさを感じさせる相槌を打っていたはずです。
なぜ、相槌がそこまで大切なのでしょうか。それは「あなたを大切に思っています」と伝えるための最強の手段だからです。
心のこもった相槌があると、相手は自然と話したくなり、信頼関係が深まります。そして本音を打ち明けてくれるようになるのです。信頼される人ほど、一つひとつの相槌に心を込めています。
機械的で心がない相槌
相手:「実は、転職を考えているんです……」
あなた:「はい、はい。そうですか。なるほど」
相手:(本当に聞いているのかな……)
心に響く戦略的相槌
相手:「実は、転職を考えているんです……」
あなた:「そうなんですね……」(少し間を置いて、表情に関心を込める)「それは大きな決断ですね」
相手:(この人は真剣に聞いてくれている)「実は……」
相槌は相手への贈り物
相槌は相手への愛情表現。心を込めなければ意味がない。
信頼される人は相槌を「作業」だと思っていません。相手の感情に合わせた相槌、話の重要度に応じた間合い。この組み合わせが、相手に「大切にされている」実感を与え、深い信頼関係を築くのです。
「なるほど! そうなんですね。そのお話もっと聞きたいです」
「そうでしたか……」(3秒の間)「それは大変でしたね」
「私もその意見に賛成です! 同じ意見で嬉しいです」
もし相槌のタイミングが分からないときは相手の息継ぎや、語尾の変化を意識しましょう。話が一段落した瞬間が、相槌の絶好のタイミングです。
また、相槌のときは必ず相手の目を見て、表情で共感を示すことが大切です。「そうですね」の一言でも、笑顔で言うのと無表情で言うのでは、相手の受け取り方が全く違います。
最初は意識的に相槌のパターンを増やし、徐々に自然にできるようになりましょう。相槌は「反応」ではなく、「相手への贈り物」だと考えることから始めてみてください。

