優秀な人材を、採用し、定着させるにはどうすればいいのか。先進的な企業では、給与を上げるよりも、福利厚生の充実を図る動きが広がっている。なぜ給与より福利厚生なのか。7社の座談会をお届けする――。

大手7社福利厚生座談会

――一般的に、「福利厚生にお金をかけるより給料を上げてほしい」という考え方もあると思います。なぜ皆さんの会社では給与以外の部分にも積極的に投資をされるのでしょうか?

【阿比野(SGH)】給料が高いだけの会社では、それに合う価値観の人しか集まりません。社員こそが会社の最も重要な「財産」であり、その価値を最大化させることが目的です。バランスよく取り組むことで、多様な人材に魅力を感じてもらえると考えています。

【外山(JT)】同感です。インフレでこれから給料は上昇傾向になるでしょうが、どこかで限界が来ると思います。そういうときにこそ、社員同士のつながりや会社への愛着が重要になるのではないでしょうか。

【山下(三菱自)】私もそう思います。仕事への誇りがなければ、待遇が良くても情熱は生まれません。当社のEV普及の取り組みも、社員が「自分たちが仕事を通じて社会貢献をしているんだ」という意識を持つことで、仕事へのモチベーション向上につながっています。

――どの取り組みも非常にユニークで、それぞれの企業らしさが表れています。

【加藤(ロッテ)】毎日の昼食後に社員へガムを配布する当社の取り組みは、実は2年前に始まったばかりです。「よく噛むこと」を通じて、健康に対する意識を高めるのが狙いです。社員が自ら実践することで、商品の魅力を外部に伝えることにもつなげています。

【山下(三菱自)】当社も同じです。2013年に「アウトランダーPHEV」を発売した際、当時の社長が「社員が乗らないで誰が乗るんだ」と号令をかけ、社員駐車場にEV用充電器を一気に増設。現在は全国3工場に計2300基の充電器を設置し、通勤した社員は無料で充電できるようにしています。

【阿比野(SGH)】2300基とは相当な規模ですよね。

【山下(三菱自)】はい。当初はPR的な意味合いが強かったのですが、現在では車通勤をしている社員の3割近くがEV・PHEVで通勤しています。EV・PHEVは災害時の給電設備としても機能するため、東日本大震災以降に注目された災害時の被災地復旧支援の観点からも効果的でした。

【阿比野(SGH)】時代の変化に巧みに対応されたのですね。当社は創業時から「みんなで楽しむ」文化があります。社員の家族も参加できるスポーツイベントをグループで行うほかに、営業所単位でも懇親イベントなどが行われてきました。ただ、互助会をつくって従業員がお金を持ち寄る仕組みは透明性が低く、経営的なリスクもある。福利厚生は一元化させようと、17年にグループで共済会を発足。各地の互助会で行われていた施策を引き継ぐ形で、「楽しい!」と感じる体験に年5000円を給付する「ENJOY給付金」制度を始めました。

(構成=渡辺 一朗 撮影=宇佐美雅浩 画像提供=キヤノンメディカルシステムズ株式会社(PET-CT検査装置))