大富豪はNISAブームをどう捉え、どう活用しているか。大手証券会社のプライベートバンキング部門で数多くの富裕層を担当していたZUU代表の冨田和成さんは「国が推奨するNISAには損益合算できなかったり、ブーム時に購入すると円安で高値掴みだったりと弱点がある。大富豪は、長所短所をわきまえたうえで、その制度をうまく使いこなしている」という――。
※本稿は、冨田和成『世界の大富豪が実践しているお金の哲学』(三笠書房)の一部を再編集したものです。
NISAに潜む大きな弱点
NISAに対して
一般人は、
投資入門のチャンスだと思っている
小金持ちは、
少額投資には興味がない
大富豪は、
確実性の高い投資に使う
世間では資産運用の好機であるかのように喧伝されているNISA(少額投資非課税制度。以下、NISA)。
NISAとは、年間360万円まで(成長投資枠が240万円、つみたて投資枠が120万円)の株式や投資信託の投資であれば、そこで得られた配当や売却益に対して税金がかからない制度です(非課税保有限度額は1800万円。成長投資枠は、そのうち1200万円)。
金融庁の大号令のもと各金融機関は国民の貯蓄を投資に回してもらおうと必死になっています。
資産運用の選択肢のひとつではありますし、投資初心者にはうってつけのように見えますが、どのような金融商品でもそのメリットとデメリットをしっかり理解しておく必要があります。
NISAのメリットは、言うまでもなく資産運用で得た利益(値上がり益や配当金・分配金)にかかる20%の税金が非課税になる点です。
とくに高配当株や利回りの高い株式投資信託のように、定期的に受け取れる配当金・分配金の比率が高い商品ほど、その利益がまるまる非課税になるため、メリットを実感しやすいでしょう。
しかし、運用がうまくいかなかったとき、NISAには大きな弱点があります。

