なぜストライプのブラウスを着るか

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櫻井さんの1日

2カ月の研修期間中、スーパーやコンビニなど大手流通のチェーン本部を担当する広域流通本部への配属を希望すると、なぜかそのまま叶う。

「どうせやるなら取引の大きな営業をやったほうが、きっとカッコイイ」と多くを考えずに希望を出した。3部の人員は5人。櫻井のほかは45歳以上の男性ばかり。

みな過去に実績を持つ辣腕だった。そんな組織に飛び込んだ紅一点の彼女に、周囲は言った。「ふざけているのか。仕事は遊びではない」と。

ベイシアグループ担当となるが、現実には何もわからず最初はついていけなかった。揚げ句には、谷口にも叱られてしまう。

取引先にも迷惑をかけるなど、無力な自分をどうすることもできず「一度だけですが、恵比寿(本社)のトイレで泣いちゃいました」と告白する。

こうした状況で、若い櫻井は自分をどう立て直していったのか。

谷口が解説する。「とにかく、櫻井さんは一生懸命を続けた。いや、いまでも続けています。全力プレーの継続が、経験の少なさを補い、気がつけば良質な企画を持ってくる形に変わった。最初の頃、悩み戸惑っていたと思います。でも、どんな仕事でも、苦境を乗り越え、やり抜くのは本人でしかない。実は、私のところに来る営業は男性のベテランばかり。女性営業マンは彼女が初めて。私は女性だからと特別扱いはしません」。