有名なマーケティング理論のひとつである「イノベーター理論」については、第4話でご紹介しました。消費者を5つのタイプに分類し、新しい商品やサービスが市場に普及する過程を分析したものです。この理論をさらに推し進め、商品が普及する前のキャズム、つまり深い溝の存在を説いたのが「キャズム理論」です。サイゼリヤには、「アロスティチーニ(ラムの串焼き)」をはじめ、このキャズムを越えたいくつもの人気商品があります。

アーリーマジョリティは、「新しいから」だけでは飛びついてくれない

みなさん、「キャズム」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。キャズムとは「深い溝」という意味。マーケティング理論において、新しい商品やサービスを市場に浸透させる際に発生する、大きな障害のことを指します。

イノベーター理論において新しい商品は、イノベーター、アーリーアダプター、アーリーマジョリティ、レイトマジョリティ、ラガードの順に浸透していくといわれています。これら5つの層の割合は決まっていて、正規分布を描くとされています。

(構成=冨田ユウリ 図版作成=大橋昭一 撮影=葛西亜理沙)