今の消費者は何を買っていいか迷っている、商品を選ぶことに疲れている、と鈴木さんは言います。(2021年9月20日レター)

最近、AI(人工知能)を活用した無人店舗のコンビニがマスコミでも話題になった。カメラやセンサーなどで、お客様がどの商品を買い物カゴに入れたかを把握し、レジをとおさず、自動決済する。マスコミは、店舗の無人化は今後の流れになっていくと報じているようだが、私は、無人化は駅の構内など、限られた状況を除いて、日本では、さほど広まっていくとは思わない。なぜなら、モノ余りで消費が飽和した今の時代には、接客こそが重要な自己差別化の要素になると考えるからだ。

現代の消費者は何を買っていいか迷っているといわれる。しかし、それは売り手から見た見方で、「迷っている」というよりは、「確認したい」という意識が強まっているように、私は感じる。買い手は、商品やサービスについて、売り手側が自分たちの求める価値を理解し、本当に自分たちのニーズを満たしてくれるかどうかを確認したい。つまり、選択を納得できる理由、消費を正当化できる理由がそこにあるかどうか確認したい。「確認したい」という心理を持つ買い手に対しては、売り手はまず、「確認してみるだけの価値があります」と語りかけるような新しい商品やサービスを生み出し、提供することだ。

(聞き手・構成=勝見明)