【田原】大手生保と商品も違うのですか。

【岩瀬】商品は基本的に同じです。ただ、僕らは特約などをそぎ落として、ほんとうにシンプルな保障だけにしています。うどんで言うならトッピングのない素うどんです。生命保険は災害時の非常食みたいなものだから、デラックスである必要はないというのが僕らの考え方です。

【田原】保険料はどうなのですか。大手の保険に比べて安い?

【岩瀬】年齢や商品によって違いますが、いちばん差がある例でいうと、30歳の人が保険金3000万円の掛け捨ての10年定期保険に入ると、うちの場合は月々3500円ぐらいで、大手さんは7000円ぐらい。10年で約40万円の差が出ます。

【田原】でも、いくら安くても、お客さんはそもそもライフネット生命を知らないでしょ。お客さんからよく注文がきましたね。

【岩瀬】最初は全然こなかったです。保険には契約審査などのオペレーション部隊がいます。契約数は1日5件くらいしかないから、彼らは9時に出社して10時半に仕事が終わっちゃう。だから駅でチラシを配ってもらったりしていましたね。

【田原】その状況からどうやって抜け出したのですか。

【岩瀬】あるインターネットの記事がきっかけでした。じつはその記事で、我々が保険料の手数料の内訳を公表したのです。たとえば、僕らは月々約3500円の保険料で、お客様に保険金として返す分は約2700円。つまり手数料は約800円です。大手は月々約7000円ですが、この2700円の部分は同じなので、手数料は4300円になる。これを開示したら騒然となって、契約数が1日40件前後に。その後に、週刊誌上でプロが選ぶ生命保険ランキングで1位になったことも大きかったですね。契約数が1日40件から60件に増えました。