田原総一朗が見た岩瀬大輔の素顔
「現状に満足しないベンチャー精神の塊だ」

岩瀬さんはベンチャー精神の塊だ。ライフネット生命が営業を始めたのは2008年。その前に独立系生命保険会社が設立されたのは1934年で、損保や外資系を除くと、74年間、新規参入がなかったという。生保業界はそれくらい規制が厳しく、既存の大手が圧倒的に強い。普通ならベンチャーでやろうと考えないが、岩瀬さんはあえてそこに飛び込んだ。まさしく挑戦者だ。

戦い方もユニークだ。岩瀬さんは、これまで業界が秘密にしてきた保険料の内訳を公開。自社と大手との手数料の違いを浮き彫りにして、お客さんの心をつかんだ。これは既存の大手にはできない戦い方だ。現状に満足せず、将来について意欲的に語る姿も印象的だった。

ライフネット生命次期社長 岩瀬大輔
1976年、埼玉県生まれ。開成高校、東京大学法学部卒業。在学中に司法試験合格。ボストン・コンサルティング・グループなどを経て、米ハーバード・ビジネススクール留学。2006年、ライフネット生命保険の設立に参画。08年、同社取締役副社長、09年2月より代表取締役副社長。13年6月23日、代表取締役社長に就任予定。世界経済フォーラム(ダボス会議)「ヤング・グローバル・リーダー2010」選出。著書に『入社1年目の教科書』『入社10年目の羅針盤』など。
田原総一朗
1934年、滋賀県生まれ。早稲田大学文学部卒業後、岩波映画製作所、テレビ東京を経てフリーに。活字と放送の両メディアで評論活動を続けている。『塀の上を走れ』『人を惹きつける新しいリーダーの条件』など著書多数。
(村上 敬=構成 宇佐美雅浩=撮影)
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