収益認識基準の変更:売上高の算出法変更で企業の「格」が大変動

世界各国の会計基準の統一をめざす国際財務報告基準(IFRS)は、すでに多くの国で導入されている。

米国での導入が遅れていることもあって、日本でも本格導入が当初の予定よりも遅れ気味となっているが、個々の会計基準については順次、IFRSに合わせて改定(コンバージェンス)されつつある。

その一環として「収益認識の基準の変更」が検討中であり、13年に新会計基準が公表されることになった。

新基準で従来と大きく変わるのが、売上高の計算方法の変更だ。

たとえば、商社が商品を仕入れて転売するとき、現行基準では転売した商品の総額がそのまま売上高となっている。しかし新基準では、右から左に転売するような場合は代理人(エージェント)的活動とみなして、総売上高ではなく手数料相当分、すなわち売上額から仕入額を差し引いた金額を、売上高として計上する。さらに売上高には、間接税相当分は含めない。

この計算方法だと、商社はもちろん、委託販売が中心の百貨店の売上高なども激減してしまう。12年3月期の決算報告で、先行してIFRS新基準を導入した日本たばこ産業(JT)では、旧基準では6兆8000億円あった連結売上高が、2兆円強にまで減っている。これは売り上げの大部分を占めるたばこの売上高のうち、販売価格の6割を占めるたばこ税相当分が計算外となったことによる。

利益の計算には変更はないものの、売上高は企業の社会的評価の1つの基準になっており、いわば企業としての「格」が大変動するわけで、その影響は小さくない。