北朝鮮の北西部には中国が侵攻

中国遼寧省の南部に丹東という都市がある。鴨緑江を隔てて北朝鮮と国境を接する街で、冬は川が凍るので歩いて国境を渡れる。

丹東に工場を持っている企業家に、「なぜこんなところに工場を造るのか」と尋ねたら、「北朝鮮が陥落したら、すぐに向こうへ渡って工場を造るためだ」と言われたことがある。

北朝鮮の体制が崩壊したら、中国人はどっと押し寄せて、得意の工業団地をバンバン造る可能性がある。少なくとも北朝鮮の北西部には中国が侵攻してくるだろう。

遼寧省の隣、中国の吉林省の南東部に延辺(エンペン)という朝鮮族の自治州があり、そこに暮らす朝鮮族の人たちは大変優秀だ。私は大連でBPO(企業が自社の業務プロセスの一部を外部業者に委託すること)の会社を経営していて現地で360人ほど雇っているが、日本語の入力業務の上手い人たちは大体、延辺・延吉(イェンジー)の出身者である。

延辺の朝鮮族からすれば朝鮮半島の北部は自分たちのものだと思っているかもしれないし、歴史的に見れば何度も中国の支配を受けてきた土地だ。北朝鮮の帰属を巡って中国と韓国が対立する構図が十分に考えられる。このまますんなりと南北統一が実現するとは思えない。