北朝鮮の中央委員会総会で核開発の強化を宣言する金正恩第一書記。(AFLO=写真)

北朝鮮が2月に実施した3度目の核実験以降、国連安保理が北朝鮮制裁強化を決議し、米韓合同軍事演習が開始され、北朝鮮が朝鮮戦争の休戦協定を一方的に破棄して韓国に最後通牒を突きつけるなど、朝鮮半島情勢は緊迫の度合いを高めてきた。

金正恩第一書記はスイスに留学していたため、国際感覚の点で先代よりもいくらかマシな指導者になるかと思ったが、張子の虎のミサイルを脅しに使う瀬戸際外交は、親父の金正日そっくりで進歩がない。

指導者が若返ったとはいえ、金正恩体制が先代と同じ年まで、すなわちあと40年近く続く、とは考えられない。今回の“半島危機”が収束したとしても、金王朝の統治システムは限界にきている。内部クーデター、民衆の蜂起、もしくは、アメリカか中国に暗殺されるなどして、金王朝が自爆するのはもはや時間の問題だろう。

想定しておくべきは、その後のシナリオである。金王朝という厄介者がいなくなった北朝鮮に対して、周辺国それぞれに思惑が存在するからだ。

韓国が掲げる「グレーターコリア」

まずは韓国。北朝鮮との祖国統一は民族的な悲願であるだけでなく、多くのメリットがある。1つ目は、北朝鮮の人口2400万人を加えて、半島全体で8000万人弱規模の国家が誕生することだ。韓国は人口1億人以上の日本や13億人以上の中国に囲まれているし、タイ(7000万人)やベトナム(8800万人)にも人口で劣っている。G20首脳会議をソウルで開催して成功させるなど李明博前大統領の下で韓国の国際的なステータスは向上してきたが、8000万人国家となれば、いよいよアジアの大国の仲間入りができる。北朝鮮の同胞を取り込むことは、韓国が掲げる「グレーターコリア」のコンセプトにも適う。