トッピング商法:かけうどん280円。客単価は500円

【トリドール】同社が運営する「丸亀製麺」店内では、トレーの列の前にあげたてのてんぷらが置かれ、食欲をそそる。

JINSは追加料金商法を否定する戦略で成長したが、逆に追加料金頼りで業績を伸ばした会社もある。釜揚げうどんチェーン「丸亀製麺」を展開するトリドールだ。同社の12年3月期の純利益は51%増。過去最高を更新している。

丸亀製麺の主力商品であるかけうどんは、1杯280円だ。ただ、実際の客単価は500円前後。安く済ませようと来店しても、てんぷらなどのトッピングを追加で頼んで、結局は会計時にそれなりの価格になるトッピング商法。藤井氏は「主力商品を安く設定するのは、外食産業でよく見かける戦略」という。

「マクドナルドがコーヒーのおかわり無料のキャンペーンを行いましたが、コーヒーの原価は10円です。それを無料にしても、客数が増えて他の商品を注文してくれるので、むしろ利益は増えます。丸亀製麺のかけうどんもこれと似ています。主力商品を安く設定することで集客を増やし、利益率の高いてんぷらなどで儲けるのです」(藤井氏)

ただ、店側の目論み通りお客がトッピングを注文してくれるとは限らない。そのための秘策が店内調理だ。

飲食チェーンはコスト削減のため、調理工程の大部分を工場で行うセントラルキッチン方式を採用しているところが多い。しかし、丸亀製麺はパートを雇い、オープンキッチンでてんぷらをあげている。それが料理のできたて感や手づくり感を演出して、お客の食欲を刺激するのだ。

ちなみに丸亀製麺はお茶も自分で出すセルフサービス方式で、ホール専用のスタッフを置いていない。セントラルキッチンで厨房を簡略化して、接客重視でホールに人を置く一般的なスタイルとは真逆だ。追加注文を増やすために、同社はホールではなくキッチンに人を配置して調理を見せる戦略を取った。従来の常識とは違う発想が急成長の原動力になったのだろう。

(坂本道浩=撮影 PANA=写真)
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