白内障や緑内障、網膜剝離は他人事じゃない
それは、「近視」が将来的な失明リスクを大きく押し上げる要因だからです。
特に強度近視(※)の場合、そのリスクは一気に跳ね上がります。日本眼科医会のデータによると、白内障には5倍に、日本人の視覚障害理由No.1である緑内障には14倍、網膜剝離には22倍、近視性黄斑症にいたっては41倍までかかるリスクが増大します。
※眼軸長が直径26.5mm以上の場合や、度数が「-6.0D」を超えている場合を「強度近視」という。つまり裸眼ではっきり見える距離が16センチ以下の人が強度近視にあたる
このように書くと、「白内障も緑内障もシニア世代がかかる病気」「網膜剝離は激しい接触スポーツをしている人がなるもの」とおっしゃる方もよくいます。
しかし、決してそんなことはありません。
40代でも眼疾患に罹る人はそれなりにいらっしゃいますし、私は常々「40歳を超えたら年1回は眼底検査を受けてください」と勧めています。眼科疾患は自分では気づきにくく、かつ早期発見・早期治療が何より重要だからです。
「PC画面が見えにくいと思ったら…」
いくつかの事例をご紹介しましょう。
WebデザイナーのAさん(40代女性)
「区の検診を利用して眼底検査を受診。すると網膜剝離の前段階「網膜裂孔」と診断され、すぐにレーザー治療へ。眼底検査を受けていなかったら、網膜剝離となり失明の恐れがあったと思うとぞっとしました。治療後、数日間は目を使えないので仕事にならず。そして、もう片方の目もいつ網膜剝離になるかと考えると不安です」
会社員のBさん(40代男性)
「目にモヤがかかる、PCの画面が見えにくくなるといった症状が続いたので眼科を受診。なんと両目とも白内障と診断され手術することに。片方ずつの手術だったので、数週間、片目しか使えない状態に。車や自転車の運転ができず、日常生活に支障が出て大変でした。白内障なんて親世代の病気だと思っていたのに……」
主婦のCさん(60代女性)
「もともと斜視で近視でしたが、編み物が趣味。ある日外出先で電柱に正面からぶつかり転倒。病院で末期の緑内障と診断され、片目がほぼ失明状態だったことが発覚。編み物はできていたのにどうして……」