「20代から老眼鏡」で目の負担が減る人も
年とともに近くのものが見えにくくなる「老眼」。不自由を感じて読書が嫌になったという人もいるだろう。
物をはっきり見るためには目のレンズとなる「水晶体」が、近くを見るときには厚く、遠くを見るときには薄くなってピントを合わせる必要がある。この調節に関わるのが、「毛様体筋」という目のまわりの筋肉。伸びたり縮んだりすることで水晶体の厚みを操作している。
眼科専門医の平松類氏(二本松眼科病院副院長)によると「老眼は、毛様体筋の柔軟性が低下するとともに水晶体が硬くなることによって、ピント調節がしにくくなる現象です」という。
おおむね45歳くらいから始まるため、軽い症状のうちから老眼鏡をかけたほうがいいそうだ(ちなみに私はまさに45歳。今のところ見づらいと感じたことはないが……)。平松氏に「老眼を予防する方法はあるのか?」と尋ねると、「いえ老眼はどうしようもありません」といわれてしまった。
「糖尿病を発症する、紫外線をすごく浴びる、常に手元を見ているような人は、年齢よりも強く老眼が出やすいとは思いますが、基本的に加齢現象ですから完全な予防はできません」(同)
誤解されがちだが、老眼鏡を使用することで老眼が早く進むことはない。それよりも見えにくいのを我慢していると、目に負担をかけ、目の疲れや頭痛などを招いてしまうという。
「それに『老眼鏡』と思うから抵抗感があるのではないでしょうか」と平松氏が続ける。
「近視の眼鏡をかける場合はそうでもないはずです。目に負担をかけないために使用する、という意識を持ちましょう。実際、老眼鏡は20代、30代から使ってもいいくらいなんですよ。もともと人は遠くを見るようにできています。特に近視の人であれば若いときから(遠くも近くも見ることができる)遠近両用メガネを用いることが目にやさしく、近視の進行抑制に役立つという考え方もあります」