「休眠口座」=「権利消滅口座」ではない

「休眠口座」とは、2009年1月1日以降、10年以上にわたって取引がない預貯金口座のことで、「休眠口座」に預けられているお金は、使われない預貯金として民間の公益活動会に活用されることになっています。

ただし「休眠口座」は、預金者が気づいて「引き出したい!」と申し出た時点で、いつでも出金や解約が可能です。通帳や印鑑などを持参し、預けた「郵便局」や「銀行」に行けば、払い戻してもらえます。

また、「預金・貯金」した本人が、認知症などで引き出しできなくなってしまっても、「委任状」を持った代理人なら引き出すことが可能です。

権利消滅問題となるのは、「休眠口座」に預けられた「預金」ではなく、郵便局に預けた「貯金」の中の“ある種別”の貯金が対象です。その「貯金」をほったらかしにすると、請求する権利そのものが消滅してしまい、払い戻しができなくなるので注意が必要です。

下記の表のように、令和3年度は457億円、令和4年度は197億円、令和5年度は155億円と、かなりの残高があり、このお金のほとんどは没収され、国のお金となっています。

満期から20年2カ月で国が貯金を没収

国のお金となってしまうのはどういう「貯金」かというと、2007年9月30日までに、郵便局に預けた「定額郵便貯金」「定期郵便貯金」「積立郵便貯金」「住宅積立郵便貯金」「教育積立郵便貯金」などです。これらの「貯金」は、預け入れてから20年2カ月経つと、払い戻し請求ができなくなり、国に没収されてしまいます。どうしてなのでしょうか。

小泉内閣時代「郵政民営化」が叫ばれ、2007年10月から、郵便局は民営化されました。この民営化で、貯金などを扱う「株式会社 ゆうちょ銀行」が誕生しましたが、これは民間の銀行なので、それまで皆さんが国に預けてきた「貯金」は、民間銀行が引き継いで預かることはできません。

ですから、2007年9月末までに預けた「貯金」は、「郵政管理・支援機構」というところが預かっていますが、この「貯金」については、「旧郵便貯金法」という法律が適用されていて、今でも国が預かっていることになっているのです。

民間銀行に預けている預貯金は、もし銀行が破綻したら「1000万円+利息」までは、預金保護法で守られることになっていますが、これを超える額については、破綻した銀行を清算したのちに預金者で按分されるので、100%守られるという保証はありません。

けれど、民営化前の「旧郵便貯金法」では、国が「貯金」を預かっていているので、どんなことがあろうと100%国が貯金を保証していました。

そのかわり、預け入れ期間の満期を迎えた翌日から20年経つと、払い戻しの権利が消滅して、このお金は国に没収されてしまうことになっていたのです(現行では、通知の期間も入れて20年2カ月となっています)。