自身の不安から不確定要素や懸念事項を最初に伝えない

上手に説明できる人はクリアなところから話す、
できない人はモヤモヤから話す。

説明しようにもはっきりとしていないところがあって、うまく説明できないときとか、ありませんか?

たとえば、あなたは会社の部署異動を考える人事部長としましょう。誰をどの部に異動させるか、まだ不確定要素が多い段階です。副社長から「次の幹部会議で異動の話をしてほしいんだけど、間に合うの?」と状況説明を求められたとします。

×「誰がどの部署に行くかまだ完全には決まっていない状態でして、新しい部署の役割分担もこれから詰めていくところで、移行期間をどうするか議論中ですが、来月1日が有力です……」

とにかく「完全には決まっていない」ということは伝えておこうと考える人は少なくありません。

というのも、説明する本人が「決まっていないこと」のモヤモヤが気になって仕方ないからです。

写真=iStock.com/metamorworks
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不確定要素や懸念事項を最初に伝えておくことで、不安を少しでも軽減したいという人もいるでしょう。または、後で批判されたり質問されたりすることから身を守りたいと、無意識に自己防衛しているのかもしれません。

しかし、自分がモヤモヤしている点から話をしても、相手はかえって状況を理解しにくくなるばかりです。不明確な情報から始めると、聞き手は全体像を把握できずに混乱します。

まず「決定事項から順にお伝えします」と言えるか

また、話す本人もモヤモヤとした情報を最初につい口にしたことで、何が重要な情報なのか、頭を整理できずに重要な情報が埋もれてしまうことも考えられます。

不確定要素や懸念事項があると、ついそれが気になるという人も少なくないでしょう。

では、そのような場合、どうしたらいいかというと、モヤモヤではなく、クリアになっているところから話すことです。冒頭の例(人事異動)について、説明上手な人はこのようにクリアになっているところを話します。

○「組織変更について、決定事項から順にお伝えします。まず、来月1日から新体制に移行します。主な変更点は、営業部門を地域別に再編することです。各部署の具体的な人員配置は来週月曜日に発表します。」

まず、現在どのような状況なのか、クリアになっているところを説明しています。

「誰がどの部に行くかわからない」ということを伝えていませんが、聞き手はどのような状況なのかの全体像がつかめるのではないでしょうか。

「わからない」「決まっていない」などの不安を伝えたい気持ちをグッと抑えて、確定している事実を伝えるところに焦点を当ててみましょう。