楽する人と努力する人の分かれ道

もちろん、暴力や暴言といった行為や、法令違反の長時間労働、従業員の心身の健康を損なうような職場環境などはあってはならないという大前提の上ではありますが、従業員にとって“働きやすい”、“やさしい”環境が、必ずしも本人たちのためにもなっていないのではないか、と思えてなりません。

会社から強制的にやらされることがなくなった今、ビジネスパーソンは「やる人」と「やらない人」に大きく分かれるようになりました。

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前述の通り、自らやれる人はほんの一握り。ほとんどの人は環境に流され、より楽な選択をし続けることになるでしょう。結果的に自ら努力できる人は青天井に伸び続けて圧倒的な結果を出し、その他の人と大きな差がつくようになっています。

「今どきの若者」は劣っている?

人材育成の業界に身を置いていると、毎年「今年の新人は~」というお声を耳にします。ゆとり世代やZ世代といった世代論が語られるときには、往々にして前世代よりも劣っている(と思われる)点にばかり焦点があたりがちです。

「電話応対など当たり前のことができない」「基本的な礼儀が身についていない」「コミュニケーションがとれない」など、こうした声を素直に受け取ると、年々人材の質が低下しているようです。

しかし一方で、若い世代の方々の中には、これまででは思いもよらなかった偉業を成し遂げる人も続々と出ています。

14歳でプロデビューし、圧倒的な勝率で将棋界の記録を次々と塗り替えてきた藤井聡太棋士。極めて珍しい「二刀流」としてメジャーリーグで活躍するだけでなく、米大リーグ(MLB)史上初めて1シーズンで50本塁打と50盗塁を達成するなど圧倒的な成績を出し続けている大谷翔平選手。

スポーツの世界に限らず、一般企業の中でも、前人未踏の圧倒的な成績を出し活躍してる20代、30代の人がさまざまな業界にいます。AI技術が発達し、あらゆる分野の研究が進み、さらに学習のコストも下がり、選択肢も無限にある現代では、学び、努力できる人はどこまでも成長し、圧倒的な結果を出すことができます。

一方で自ら動かない人は、教えられる機会や、強制的にやらされることを含めたやる機会が減っている分、成長のスピードは鈍化します。この二極化こそが、現代の最大の問題だと私は考えています。