社会人になるとなぜか「ぶっつけ本番」に
ところが、社会人になった途端、多くの人が「自主練」をしなくなります。一般企業で働くビジネスパーソンにとって本番は就業時間です。就業中に最大のパフォーマンスを発揮するためには、心身の健康を整えることはもちろん、準備や自主練の時間が必要なはずです。ところがほとんどの人は「ぶっつけ本番」で仕事に取り組んでいます。
2022年にパーソル総合研究所が発表した「グローバル就業実態・成長意識調査」によると、勤務先以外で学習や自己啓発などの活動を「なにも行っていない」と答えた日本人の割合は52.6%。つまり日本では5割以上の人が、仕事の時間以外には何も勉強していない、という結果が出ました。
これは諸外国と比べても圧倒的に多い割合です。同じ質問で「(勤務先以外での学習や自己啓発を)何も行っていない」と答えた人の割合は世界平均で18.0%。もっとも低いインドでは3.2%。インドでは残りの96.8%の人が、仕事の時間以外にも自己成長のために学んでいるということです。
1日10分が1年で60時間の差に
日本では、仕事の時間以外に自己啓発を行う人が圧倒的に少ないということは、セルフブラックの重要性を浮き彫りにしていると言いかえることができます。
休日にゴロゴロと寝だめをするだけの人と、意欲的に学ぶ時間に充てている人のパフォーマンスが同じはずはありません。1日勉強しただけ、1日サボっただけではその差は目には見えません。しかし1日10分の「自主練」が、1カ月で5時間分、1年では約60時間分もの差を生むのです。
今は昔のようにみなが等しく長時間労働をする時代でもありませんし、会社が休日の過ごし方を強制することもできません。だからこそ、セルフブラックで「自らやる」人と、何もやらない人の間に大きな差が生まれ、二極化が進んでいくのです。