おこづかい制は日本だけ、共有口座を作ろう
でも実は、おこづかい制があるのは日本だけです。日本人は、給与をすべて妻に預け、預金口座は妻が管理しているという習慣があるのかもしれませんが、これは今の時代には合いません。繰り返すようですが、海外では公平に二人で話し合い、お互いが相当分を支出するのです。
そのほうが妻の仕事もしっかりとキャリア形成の中に位置づけられ、お互いのキャリアや仕事を尊重し合うことにつながります。
社会的キャリアを認めてもらうといった感覚は、きちんと収入に比例して支出するという公平さに裏づけられてこそ得られます。
それが今の時代の価値観を大事にするということです。おこづかい制は、相手を信用しているということでも、優しさの表明でもありません。むしろ、相手を自分の“従属物”として見ていることにつながります。
日本では、「給与が少ないから」と卑屈になる男性が多く、「少ないからこそ、おこづかい制にして給与を渡すしかない」と考える男性が多いようです。そんな日本人的な考えだと、女性は素直に甘えてしまいます。給与が少ないならなおのこと、自分でやりくりするべきなのです。
だいたい、夫はお金の管理を妻に任せすぎです。それは、自分が無能だと公表しているようなものです。「聞くのが悪いから」と遠慮するのは、口論を避けて現実から逃げ出し、話し合うべきことを先延ばしにしているだけです。共有口座は愛の口座なのです。
次の表のように、まずは、それぞれ、買いたい物、やりたいことなどを考えてみましょう。
実家のお金の管理方法を確かめる
会社の経理部でも担当者一人に任せっきりにするのは危険なので、数人でチェックし合います。担当者が病気になったり事故にあったりすることもあります。
家族も同じです。これは本来は、結婚前に、お互いの家族でのお金の管理方法がどうだったかを聞くことで、相手の金銭感覚を確認しておくことをおすすめします。最初は無理でも、デートを重ねていけば、だんだん話しやすい雰囲気が出てくるでしょう。
両親は、おこづかい制だったのか、別々の家計だったのかなど、ざっくばらんに話せばお互いの価値観がわかり、金銭感覚を確認し合うことができます。
お母さんが家計簿をつけていたか、現金が机の上にポイと置かれたままで、それがいくらかも覚えていないといった、お金に対してルーズな家で育ったのか、収支バランスも考えないその日暮らしで育ったのか……。
また、両親は共働きだったのか、専業主婦か、自営業だったか、転職、転勤なしの会社員だったのかなどの背景によって、それぞれ注意する点が違ってきます。
例えば妻の両親が比較的鷹揚で、金銭感覚もアバウト。それが彼女に投影していることも考えられます。これは一種の「癖」なので、一方的に叱ってはいけません。
もしかしたら堅実に見える夫にだって、独特の癖があるかもしれません。今のところ「家計の支え手」という立場があるから、それが出ていないだけなのかもしれないのです。
仮にルーズな家庭同士の二人だったら、二人してちゃんと細かく家計簿をつけないと、家計が破綻しかねません。FPなどしっかり計算できる第三者にその都度、相談しましょう。そうでなければ借金ばかりが増え、面倒なことになります。
一人暮らし時代に金銭的苦労をしたとしても、自由にお金を使えるようになったら、その感覚が当たり前になって、いつまでもやめられなくなることはあります。自由に使える余裕が生まれれば、どんどん自分を甘やかしてしまいます。