循環器病の多くはカテーテルで治せるようになった

循環器病の治療は驚くほど進歩している。血管の狭くなったところには、ステントという筒状のステンレスのメッシュの筒を狭窄部に入れる。ステントには再狭窄しないように薬剤が仕掛けてある。私の狭心症のケースでは、薬剤の塗付のない旧式のステントを入れて25年たつがこの間全く問題がなかった。

くも膜下出血の原因となる脳動脈瘤も大動脈解離の治療も、血管内を保護するステントによって行われる。ちなみに、ステントはイギリスの歯科医(Charles Stent:1807〜85)が開発した歯科用の型取り資材に由来する。

多くの循環器の治療は、血管からカテーテルを入れて行われるようになった。冠動脈、心臓弁膜、脳動脈の手術はカテーテル手術である。体の負担は少なく、入院期間も非常に短くなった。カテーテルを操るのは、心臓の場合、心臓外科医ではなく、循環器内科医である。私は、自分の冠動脈にカテーテルでステントを入れるのを画面で見ていたが、カテーテル操作の技術には感嘆するばかりであった。ゲームで培った技術が役に立っているのかもしれない。

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突然死は自宅が多い、起こりやすい場所とシチュエーション

突然死は、どのような場所で、何をしているときに起こるのであろうか。日本心臓財団によると、次のようになる。

黒木登志夫『死ぬということ』(中公新書)

・自宅:74%
・公共の場所:19%
・事務所:7%

自宅では寝ているときと風呂に入っているときが多い。

・睡眠中:34%
・入浴中:11%
・排便中:4%

意外なことに、労働、歩行、スポーツなどの身体を動かしているときはそれほど多くない(1~5%)。日常生活それも自宅における普通の生活のときの発作が多いことがわかる。

冬場は、特に入浴中が危ない。人口動態調査によると、2021年の浴槽での溺死者は5459人に上る。交通事故による死亡(3536人)よりも1.5倍も多いのだ。そのうちの約5000人は65歳以上の高齢者であった。入浴中に気を失うと、溺死の危険がある。脱衣所と風呂の温度の差による「ヒートショック」死も多いと思われる。脱衣所にヒーターをつける、冬はむしろぬるま湯にするなどの注意が必要である。