推すべき対象は、他人ではなく自分自身
最後に、本当に推すべき対象を教えてくれる、ある賢者の教えを紹介したい。
それはお釈迦さまが晩年、長年付き人として連れ添った弟子、アーナンダに語った言葉だ。
病を患い、自らの命が永くないことを悟ったお釈迦さまは、「お釈迦さま亡き後、誰を拠り所にすればいいのか」と言うアーナンダの問いに、こうお答えになった。
「私を拠り所にするな。自分自身を拠り所とせよ」と。
そう、お釈迦さまは弟子たちが自分に依存することを厳しく戒めたのだ。
いつまでも「お釈迦さま推し」を辞めない愛弟子に、本当に推すべき対象は、自分自身であることを諭されたのだ。
私たちの心には、いつも不安感や孤独感がある。誰かを推すことで、そんな不安や孤独が紛れることも確かだろう。しかし「推し活」に疲れた時は、思い出してほしい。
あなたが本当に推すべき対象は、他の誰でもない、あなた自身であることを。