お金や時間をどんどん費やしてしまう心理

その後、2012年にアニメ『アイカツ!』が始まると、アイドルとオタクの親和性から、ライブに行ったりグッズを買ったりするなどの活動が「オタ活」として知られるようになり、自分が推すアイドルをさまざまなかたちで応援する「推し活」が浸透。2021年には「ユーキャン新語・流行語大賞」にノミネートされるようになったという。

そこにAKB48が登場。「会いに行けるアイドル」としてオタクと直接交流をする機会が増えると、オタクがメンバーを「推し」、アイドルが「推される」という相互関係が注目されるようになった。2012年以降、彼女たちの序列を決める総選挙がゴールデンタイムにのテレビ中継されるようになり、「推し」が広く一般に知られるようになった。

さらにその推し活に「オタ活」的要素が加わってゆく。従来の「ファン」という側面に加えて、「どれだけ“推し”にお金や時間をたくさん費やしたか」という、マニアやコレクターとしての意味合いが加わっていったのだ。

お金が多い写真
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「推しのために生きる」までエスカレート

どんなことでも、過ぎたれば必ず問題を引き起こす。

たとえそれが本人の生活や人生に支障を来たすほどの「推し活」であったとしても、学校や会社、仕事に対する優先順位やモチベーションが低い人、未来への夢や希望を見いだせない人にとっては、目の前の「推し」に消費を積み重ねていくことがご褒美となり、日々の活力や安寧感にもつながるという。

それは真の活力でも安寧感でもなく、一時的な高揚感と幻想でしかないのだが、「推し活をしている間はツライ日常を忘れることができる」「推し活のためにしたくない仕事を続けられる」というように、推しへの消費そのものが自身を励ますことや甘やかすことにつながるため、「推しのために生きる」という者まで出現するようになった。