親のクレカで700万円を費やした女子高生
さらにテクノロジーの進化が、「推し活」を悪き方向へエスカレートさせてゆく。
配信機能の充実や配信アプリの普及により、ライブ配信やSNSなどでファンが推しに対して送金する「投げ銭」と呼ばれる「推し活」が流行し始めたのだ。
投げ銭は、推しであるアーティストにもほかのファンにも認識されるオープンな場所で行われるため、特別感を味わうことができる。自分が投げ銭をすることで推しから名前を呼んでもらえる、感謝の言葉をもらえる、優先的に質問に答えてもらえるなど、推しが自分に注目してくれることで、エゴが強烈に満たされるのだ。
また、高額であればあるほど推しが注目してくれるために、投げ銭額は当然のごとくエスカレートしてゆく。かくして消費生活センターに寄せられた相談のなかには、親のクレジットカードを使って700万円もの投げ銭をした女子高校生もいたという。
廣瀬氏はこの記事の締めくくりとして「推し活は、他人の人生に自身の生きがいを見いだす行為でもあります。現実社会がつらいから推しを消費するというマインドが強くなるほど、依存性が増し、その対象を「消費」をすることそのものが自身への救済につながるという感覚も強くなってしまうのです」と、エスカレートした推し活に警鐘を鳴らしている。
行き着く先は「法で裁けないカルト」
「推し活」の対象は何もアイドル、アーティストに限らない。俳優や韓流スター、アニメやホストやホステス、政治家や宗教に至るまで、本人の経済力に見合わない推し活は、「推す者」の生活や人生に支障をきたす。
さらには、「推される者」をもカルト化させてしまう可能性を秘めている。「推し活」がビジネスとして莫大な富を産むなら尚更だ。
決して違法なことを行なっているわけでもなく、メディアでも憧れとして注目を集めるインフルエンサーの中にも、カルト的な推しが散見される。
カルト化したインフルエンサーは対象者をマインドコントロールし、その行動や思想、考えることを停止させ、操り人形化する。推している側も、推されている側も、「これはおかしい」「行き過ぎだ」と、反省する思考を停止させてしまうのがカルトなのだ。