普段、何気なく使っている言葉の意味を考えたことはあるだろうか。福厳寺住職でYouTuberの大愚元勝さんは「実は仏教にルーツをもつ言葉が多い。例えば『挨拶』は師匠が弟子の悟りの度合いをはかる問答のことを指す。ここにもブッダの教えが込められている」という――。
僧侶
写真=iStock.com/Xavier Arnau
※写真はイメージです

社員も経営者もそれぞれ悩みを抱えている

私が、人々の苦悩に仏教の智慧で寄り添う悩み相談番組「大愚和尚の一問一答」を、YouTubeで配信し始めてから10年が経つ。

「大愚和尚の一問一答」に届く相談には、「リストラされた」「仕事に行きたくない」「鬱になってしまった」「上司や同僚との関係に悩んでいる」といった仕事上の相談も少なくない。

中でもここ2、3年で増えているのは、経営者や経営幹部など、経営サイドに立つ方々からの相談だ。

「なかなか採用ができない」「社員が言うことを聞いてくれない」「嫌なことがあると社員がすぐ辞めてしまう」「No.2が育たない」「親から受け継いだ会社をどうしていくべきか」「創業以来ずっと黒字だったが、ここへ来て赤字が連続して立て直せない」「主力であった事業が傾いているが、新規事業として何をしていいのかが分からない」「妻や夫、親や子どもとの関係に悩んでいる」「現状苦しいわけではないが、未来が見えない」「自分の中にブレない軸や確信が欲しい」など。

また、企業からの講演会や研修会の依頼も増えている。

実は仏教にルーツがあるビジネス用語

そんな「声」を受けて私は、「経営マンダラ実践会」と称する経営者向けの仏教経営研究会を始めた。昨年秋にスタートし、すでにこの半年の間に、東京、名古屋、大阪、サンフランシスコ、サンディエゴなど日米の都市で開催してきた。そこには中小企業の経営者、上場企業の幹部といった企業経営者、これから起業を考えている方々はもちろんのこと、政治家、医師、大学教授など、多種他業界のリーダーたちが集まった。

ここまで読んで、あなたは思ったかもしれない。

「なぜ坊さんが経営について語るのか」と。

実は「経営」は仏教の言葉である。また「経営」に限らず、ビジネスの場面で用いられる言葉の中には、仏教の言葉が多く存在する。ぜひ一人でも多くの経営者、そしてビジネスパーソンに、それらの言葉本来の意味を知っていただき、会社の経営や自身の生き方、働き方に役立てていただけたら幸いである。