日本には、創業200年以上の長寿企業が5500社以上ある。福厳寺住職でYouTuberの大愚元勝さんは「日本人が自分も顧客も、社会の豊かさをも願う働き方をしてきたおかげで、急激な社会変化に耐えることができた。しかしここ数十年で、長寿企業が守り継いできた強みが失われつつある」という――。
東京
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日本人がジリ貧になる「円弱」の危機

「34年ぶり円安で後進国に転落か…「円弱」ニッポン“国力低下”の現実」(TBS NEWS DIG、4月25日)

スマホでYouTubeを開くと、キャッチーな見出しが目に飛び込んできた。

これはまさに今の日本の現実を表している。

今や円は対ドルに限らず弱い。世界最弱の通貨に成り下がってしまった。

ちょうどこの記事を書き出した矢先のこと、1ドルが155円を突破したかと思ったら、一気に160円まで円安が進んだ。その後は為替介入があったのか、151円台まで円高に振れたが、すぐにまた156円台に戻した(5月14日時点)。

ちょうど1年前。私は5月にアメリカ、6月にイギリスへ出かけた。

アメリカで食べたハンバーガー1個とジュース1本が24ドルだった。当時のレートで日本円にして3400円。

イギリスで借りたレンタカーのガソリン代は1リッター1.45ポンド。当時は1ポンド182円ほどだったので日本円に換算すると260円ほど。それが今や、1ポンド200円に迫ろうとしている。

帰国後、地域の集まりでその話をした時、「俺は経済のことなど小難しい話はよく分からん」などとぼやいた人がいた。しかし「経済のことなどよく分からん」人であっても、もう誰もが物価の上昇を通じて「円弱」の危機を体感しているはずだ。

日本経済が復興する見込みは十分ある

新型コロナウイルスの世界的パンデミックがようやく収束したかと思いきや、ウクライナvsロシアの戦争、物価の上昇、止まらぬ円安。この5月からは電気料金、ガス料金もさらに値上げが予定されている。

ブッダは、この世のありとあらゆる事象は全て密接に関係しており、その関係の上に存在が成り立っていると説いた。この状態を「縁起えんぎ」と呼ぶが、まさに世界は密接に繋がっており、経済状況や社会的な出来事は、たとえそれが距離を隔てた外国に起きたことであっても、それらの影響は私たちの生活や仕事に深刻な影響を与えている。

サービスも、食品も、エネルギーも外国に依存し、モノづくりも国外に出してしまった日本はこれから一体どうなってしまうのだろうか。果たして日本経済に復興の見込みはあるのだろうか。

私は大いにあると考えている。そう言い切る根拠は、日本が世界に誇る自然環境、歴史と日本人の基本的性格にある。