企業献金は官房機密費のような闇

【泉】本来は企業・団体献金の代わりに、「国民ひとりあたりコーヒー一杯分、二五〇円の負担」で政党助成金を作ったのに、企業献金を残してしまって。おまけに裏金ですからね。

【紀藤】一挙両得ですよね。

【泉】そう、焼け太りです。

【紀藤】本当にそんな感じなんですよ。だから、政党助成金を作って、本当はなくすはずのものが残ってしまうわけだから、両方あって得になってしまう上に、「寄附されたものは報告義務がない」となると、それは裏金になるというか、闇のお金になるだけなので。官房機密費のようなものじゃないですか。

【泉】そう、官房機密費と一緒ですね。

【紀藤】官房機密費と同じような図式のものが個々の議員にできてしまうというのは、とても闇が大きい。だって裏金が二〇〇〇万円とかですよ。

【泉】闇が膨らんでいってる感じですね。

【紀藤】二〇〇〇万ものお金が自由に使えて報告すらしないって、びっくりしてしまうんですけど。

報告義務のない二次法人の悪用

【泉】政策活動費も、各党の総計で年間一六億円(二〇二二年)ですからね。一年間に一〇億もの金を自由に使って、なにに使っても「使途不明」ですから。本当にルール化がなされていなくて、ブラックボックスがブラックボックスのまま、かえって巧妙になって、見えづらくなっている。

自分の反省も込めて言うと、石井さんの死をもって、当時石井さんと一緒にやっていた国会Gメンにしても追及の形は変わってしまった。石井さんは、公益法人の問題も追及していたんですけど、亡くなった後は、ほとんどやる人がいなくなってしまった。

写真提供=石井ターニャ氏
石井紘基氏 出典=『わが恩師 石井紘基が見破った官僚国家 日本の闇』(集英社新書)

【紀藤】特殊法人や公益法人は、予算の報告義務があるわけです。だけどその傘下の二次法人になると、もう報告義務がないものが多数出てくる。だから今、地方自治体でも二次法人が非常に多いじゃないですか。むしろ石井さんが闇を暴いたことで、「二次法人に報告義務はない」ということを知った人たちが……。

【泉】ああ、逆に。

【紀藤】特殊法人や公益法人の下に、いっぱい二次法人を作っている。港湾事業とか道路事業とか、大きなお金が動くところで、みんな上から下にどんどん落としているわけです。そのせいで以前より、お金の流れが見えにくくなっている。