自民党の裏金問題では、これまで「政治資金収支報告書の不記載」が問題視されてきた。しかし、そもそもパーティー券収入は非課税でいいのだろうか。元国税調査官の大村大次郎さんは「世論の高まりがあれば、今後、税務調査が入り、政治家が脱税で起訴される可能性もある」という――。
「パーティー券収入のキックバック」に脱税の指摘
自民党の裏金問題が尾を引いている。
清和会(安倍派、2024年1月19日に解散決定)が派閥のノルマを超えたパーティー券販売収入をキックバックし、事実上の裏金としていたことが、東京地検特捜部の捜査によって明らかになった。
自民党の池田佳隆衆院議員が政治資金規正法違反の疑いで逮捕。ほか議員2人が在宅起訴、略式起訴されている。
今回の事件について、ネットなどでは「これは脱税にあたるのではないか」という指摘がなされている。
派閥の各議員にキックバックされたお金は、収支報告書に記載されておらず、「裏金化」しており、当然、税務申告もされていない。世間で「脱税ではないか」という疑念が生じるのは無理もない。
国税は政治家に対して「非常に弱腰」
が、キックバック議員たちが脱税で起訴されるかというと、残念ながらそのハードルは非常に高いと言わざるを得ない。
まず第1のハードルとして、政治家に対して税務当局(国税庁、東京地検特捜部など)は「非常に弱腰」ということがある。
国税庁は本来、相手が首相であろうとも、税務調査を行い、脱税を摘発する権利を持っている。
政治団体には税務署への申告義務はないが、政治家個人は税務署への申告義務がある。もし、その申告におかしな点があれば、国税は政治家を税務調査することもできるし、そこから政治団体の金に斬りこむこともできるはずなのだ。
しかし、国税は政治家に対して、まともに税務調査をしていないのである。