「ジリ貧」の岸田政権と自民党の支持率
岸田政権が、低支持率にあえいでいる。
毎日新聞の世論調査(12月16~17日)では16%、時事通信(12月8~11日)では17.1%と、複数の世論調査で10%台の支持率となり、多くの政治関係者に衝撃を与えた。
同じくして、自民党の支持率も低下している。朝日新聞世論調査(12月16~17日)では支持率23%と、自民党の政権復帰後最低の支持率を更新するなど、少なくとも2012年からの自民党政権では最も定位の水準にあることは間違いないだろう。
原因は一つではない。岸田内閣自体の支持率はジリ貧で、2022年末から低下傾向にあった。春先から夏にかけて、ウクライナ訪問などの外交成果により一定持ち直したものの、そこから再び内政に目が向いたことで再び低下トレンドに入っていた。それに加えて、今般の自民党における派閥の不祥事により、ついに自民党にまで火がついた格好だ。
「岸田おろし」で総選挙に突入か
自民党は内閣支持率が落ち込むと「○○おろし」という形で看板の架替えを行い、「ご祝儀相場」が残っている間に解散総選挙を打ってしのぐ、という戦略を取る。
典型的なのは、まさに岸田内閣だろう。支持率低下にあえぎ、衆参の補選や横浜市長選で破れた菅義偉前首相は総裁選に出馬することを阻まれ、退陣を表明。就任と同時に岸田文雄新首相は解散を宣言し、議席こそ減らしたものの、絶対安定多数を確保するなど事実上勝利した。
このような状況を踏まえると、岸田首相で総選挙に突入する可能性は低いと見るのが永田町のコンセンサスだ。しかし、今回に関しては、前回の菅義偉内閣とは異なり、自民党自体の支持率が大きく低下するトレンドに入っている。つまり、自民党自体の比例得票数などにも影響する可能性は否めない。
また、仮に総裁選を行うとしても、安倍派・二階派が動けない以上、岸田派・麻生派・茂木派など、岸田政権を支えた派閥が主導して総裁選びが進むことになる。新総理の人選によっては、刷新感は薄れることになるだろう。