世論調査と実際の得票の「差」

年代や普段接しているメディアによって、政党支持は大きく変わる。

JX通信/選挙ドットコムの調査では、ネット調査と電話調査それぞれの数字を発表している。2023年12月の電話調査では、自民党の支持率は23.9%だが、ネット調査では9.3%だった。立憲民主党の支持率も、電話調査では11.6%だが、ネット調査では2.2%と、大きな乖離かいりがある。

ネット調査は主に50代以下の層が多く、電話調査は高齢者層が主だ。精度の面では、自ら回答するネット調査にはややバイアスがかかる可能性があるが、ネット世代の意識を理解する上では重要である。

近年、国政選挙などでは、立憲民主党の獲得議席数が情勢予測より下回る傾向が続いており、他方で国民民主党は情勢予測では厳しい結果が出るものの、それを上回る結果を出すことが多い。

電話調査などを中心にした情勢報道で拾いきれる民意と、実際の得票の間の乖離が、拡大していると見るべきなのではないだろうか。

働き盛りを押さえる維新、捉えられない立憲

とはいえ、「若年層」の中にも大きな差がある。NHK調査では「39歳以下」となっている(39歳は「若年」ではないだろう)が、10代、20代、30代のそれぞれで支持傾向は異なるし、当然ながら1年経てば年代層も入れ替わっていくため、傾向は流動的に変わるからだ。

比較のために、2022年7月の共同通信の調査を見てみよう。

立憲民主党は50代以下の層からの支持が薄いが、特に低いのは30代と40代で、「働き盛り」の層からの支持が低いことがわかる。逆に10代からの支持は比較的高い。

2021年の朝日新聞による衆院選の出口調査でも、10代の17%が投票したと答えたのに対して、30代は14%と低い傾向だ。

日本維新の会は30代から50代までの働き盛り・壮年層の支持が厚いことがわかるが、10代、20代の支持は比較すると低い傾向にある。朝日の出口調査でも、40代が17%に対して10代が8%となっている。

国民民主党は、年代が下がるほど支持が高まる傾向にあり、特に10代と20代の支持が厚い。

テレビを中心として、(特に関西圏における吉村洋文知事、橋下徹元代表などの露出で)知名度を上げた維新と、YouTubeなどのネットを中心として知名度を伸ばしてきた玉木代表の違いが出ているとも言え、興味深い。