「あなた」をもっと使っていこう

リアルであなたの目の前に複数人で集まっている方々には「皆さん」で良いでしょう。しかしオンラインやアーカイブで聞いている人たちは、スマホやPCで一人で視聴していることが多いものです。そのため「皆さん」と呼びかけられると、無意識のうちに自分は該当しないような気がしてしまいます。

リアルの聞き手には「皆さん」。オンラインや配信で見ている聞き手には「あなた」と呼びかけましょう。

例えば、「会場の皆さんは○○してください。オンラインで参加してくださっているあなたも、ぜひ○○してください。そして、動画で後ほどご覧になっているあなたは、○○してみてください」と、それぞれに配慮しながら声がけをします。

日本語で「あなた」というのは少し抵抗があるかもしれません。しかし慣れて使いこなせるようになることで、聞き手はあなたの話をより身近に感じることができるでしょう。

なぜタモリは観客と息を合わせるのがうまいのか

言語スキル③ 代弁する同調効果を利用したタモリさんの拍手締め

「息を合わせる」という言葉があります。相手と調子を合わせコミュニケーションを取りやすくするための方法です。一対多数という場であっても最初の段階で息を合わせておくほうが、その後の話をしやすくなります。

フジテレビ系で平日お昼に31年間生放送されていたバラエティー番組「笑っていいとも!」。司会のタモリ氏は、大勢の観客と息を合わせるのが抜群にうまい方でした。

新宿東口にあるスタジオ・アルタの写真(写真=Kentin/CC-BY-SA-3.0,2.5,2.0,1.0/Wikimedia Commons

コーナーの最初にタモリ氏が観客に対していろいろと問いかけ、それに対して客席が声を合わせて「そうですね」と答えたり、観客から沸き起こった拍手をタモリ氏がパンパンパンパンと指揮をとるようなしぐさで締めたりといった姿を懐かしく思い出す方も多いことでしょう(知らないという世代の方は動画アプリなどで「タモリ・拍手締め」などで検索し、一度タモリ氏の神業を見てみてください)。

まったく同じ手法は私たちにはできませんが、同じように「息を合わせる」工夫は取り入れたいものです。相手の今の状態を想像し、そのことに対する一言から話し始めましょう。