オンライン会議で有効なひと言
言語スキル② もれなくダブりのない声かけ
リアルの対面場面だけでなく、オンラインシステムを使って人前で話す機会も増えました。ZoomやTEAMSなどのオンラインは、聞き手は「映像なし」の設定で参加していることも多く話しづらいもの。苦手意識を抱いている方もいるでしょう。
中でも難しいのは、ハイブリッド形式。リアルとオンラインを同時に配信するという最近増えてきた方法です。動画を後日配信するというアーカイブ形式もあります。
オンラインで発言しづらいのは、聞き手の顔が見えないからです。姿が見えない相手に向かって話すと、当然伝わりづらくなります。だからこそ話し始めの段階で、聞き手全員に対して、「私にはあなたが見えています」と伝えることが大事です。
目の前にいる聞き手にも、オンラインで姿が映っていない聞き手にも、後日配信を見ている未来の聞き手にも、です。聞き手を誰一人とりこぼさないためには、話し始めにもれなくダブりなく声をかけることです。
例えば、「今日この場には□や△など○人の方が集まってくださっています。オンラインでも○人の方が見てくださっていると伺っています。ありがとうございます。質問などあれば随時チャット欄に記入してください。さらに後日動画でご覧になる方もいます」というように全員に向けた言葉を最初に伝えます。
「皆さん」では物足りない
そうすると、オンライン参加や後日配信を視聴している人も置いてけぼりになることがありません。空間と時間を超えて、あなたの影響力がしっかりと届くのです。
先にご紹介した豊田氏の挨拶は、もれなくダブりない声かけという点でも優れています。感謝の対象として「トヨタで働く皆さん」「世界中のお客様」「販売店の皆様」「仕入先、輸送現場の皆様」と550万人のすべての人のことをあげているからです。このスピーチを聞いた方はどれかに自分があてはまり、嬉しく思うことでしょう。
同じように、私たちが話すときも聞き手のカテゴリ別に声をかけます。「社会人の方は○○してください。学生の方は○○してください」「新人の方は○○してください。経験○年以上の方は○○してください」など、その場面に合わせて応用しましょう。
呼びかけは「皆さん」ではなく、「あなた」
もう一つのポイントは、声かけをするときの呼び方です。安易に「皆さん」といわないこと。「皆さん、こんにちは」と話し始めていませんか。聞き手によっては「皆さん」には該当しない方がいるかもしれません。なぜなら、話を聞いている状況はそれぞれ違うからです。