人前で話す際に気をつけるべきことは何か。長崎大学准教授の矢野香さんは「心理学的に評価が下がると立証されている話し癖がある。それに該当するかどうか、自分が話す際の癖を知っておくとよいだろう」という――。(第2回)
※本稿は、矢野香『世界のトップリーダーが話す1分前までに行っていること』(PHP研究所)の一部を再編集したものです。
髪の毛を触る、服や眼鏡を触る
人前に出ると、自分の悪い癖が出てしまうことがあります。いつもなら気にならない程度の癖なのに、緊張することで強く出てしまう。とくに最初の第一印象を形成する段階では悪癖が出ないようにコントロールしたいものです。ここからは、あなたの評価を下げることが心理学的に立証されている話し癖を紹介します。
話し癖は自覚できていないことも多いものです。以下の話し癖に心当たりがある方はもちろん、ない方も周囲の方に自分が当てはまっていないか確認してみましょう。癖が出ないようにするための方法も提案します。ぜひ試してみてください。
やってはいけない話し癖① 自己接触 腕組みを防ぐ魔法のアイテム
「自己接触」とは、自分を触る行為のこと。人前に出てすぐに自分の顔や髪の毛、服や眼鏡などの装飾品の一部を触る癖です。頬に手を当てたり、腕組みしたりする動作も含まれます。
ある研究では自己接触の中でも、とくに髪の毛に触ること、ポケットに手をおくことが聞き手からの印象が悪かったと報告しています。頼りなく感じられたり、不信感を与えたりします。
なぜ人前に出たらすぐに自己接触をしてしまうのか。それは不安やストレスを低下させる効果がある行動だからです。人前に出るという居心地の悪い状態を回避しようとして自己接触をしてしまうのです。緊張しやすい人ほど自己接触をしないための工夫が必要です。
自己接触を避けるためには、最初から何かを持っておくことです。ペンや資料など片手に持ちながら話しても違和感のないアイテムを準備しておきます。プレゼンであればポインターやハンドマイク、演台があればその縁を握るのもお勧めです。