たんぱく質は「とりすぎ」くらいが、ちょうどいい

では、たんぱく質の摂取量が少ない日が続くと、どうなるか。

まず筋肉量が減ります。筋肉のたんぱく質が、新たな細胞を生み出すための材料として、真っ先に分解されてしまうからです。たんぱく質不足の状況では、脳細胞の再生もうまくいかず、機能の低下が起こってくるでしょう。

すると、気分の不安定や集中力の低下、精神的な疲れなどが引き起こされます。さらに、免疫力が低下し、風邪などの感染症にかかりやすくなるでしょう。

なお、口からとったたんぱく質は、体内にためておけない、という性質があります。吸収されなかったものは、排出されてしまうのです。よって、「夕食に肉を食べるから、朝と昼はたんぱく質がなくても大丈夫」ということにはなりません。

朝・昼・晩の1日3食、たんぱく質はそれぞれの食事でしっかりとること。

現在、栄養士の合い言葉は「たんぱく質」といわれるほど、その不足に危機感が高まっています。日本人の食事摂取基準でも、たんぱく質には上限が設けられていません。

たんぱく質は腎臓に問題がない限り、とりすぎたところで健康を害するリスクはなく、むしろ、もっととる必要があるとして、下限が引き上げられているほどです。

健康な人の場合、たんぱく質は「とりすぎかな」と感じる程度がちょうどいいです。

勉強に効果的な、脳内ホルモンをつくるには

受験生にはたんぱく質がとくに大事。それは、たんぱく質が「脳内ホルモン」の材料にもなるためでもあります。

脳内ホルモンとは、脳のなかで働く神経伝達物質のこと。神経伝達物質とは、脳やせき髄などを構成する神経細胞の間で情報を伝える役割を担っている物質のことです。

脳のなかには、1000億個以上もの神経細胞があるとされています。その膨大な神経細胞の間で、さまざまな脳内ホルモンが働いています。

人の感情も、脳内ホルモンがつくり出しています。

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たとえば、好きと嫌い、うれしいと悲しい、楽しいとつまらない、「すごい!」と「こわい」、期待と不安など。これらの感情はすべて、脳内ホルモンの働きによって引き起こされています。

では、どんな脳内ホルモンの分泌量を増やすと、勉強に効果的でしょうか?

答えは明らかですね。ポジティブな感情を生み出せる脳内ホルモンです。それらを増やすことができれば、勉強にも前向きになれます。受験を恐れ、不安になるのではなく、「よし! やってやろう」と自身を鼓舞できるようなメンタル。それは、どんな脳内ホルモンが多く分泌されているかで決まってくるのです。

そこで大事になってくるのが、たんぱく質です。脳内ホルモンの材料は、私たちが毎日とっているたんぱく質だからです。

たんぱく質をとると、腸のなかで約20種類のアミノ酸に分解されてから、体に吸収されます。そのアミノ酸から脳内ホルモンはつくり出されます。このうち、体内で合成できず、食事から必ずとらなければいけない9種類を必須アミノ酸と呼びます。

では、どんな脳内ホルモンが、受験生の脳には重要なのでしょうか?

とくに必要とされるのは、次の4つです。ただし、脳内ホルモンは、たんぱく質だけあっても合成できません。

アミノ酸から脳内ホルモンになるまで、いくつかのステップを経ることになりますが、その際、特定のビタミンとミネラルが必要になります。それについてもあわせてご紹介します。