通販もデータドリブンの時代

「ordr」は曖昧な情報や勘で決められてきた商慣習を“見える化”しました。年間30万近い通販番組について、どの業者がどんな商品を、いつ放送し、その結果どれくらい視聴者が反応したのかをデータ化したのです。

これにより通販会社は、放送展開でのリスクを軽減できるようになりました。競合他社の出稿量や時間帯による出し方の違いを把握できます。また、売れている商品がどう訴求されているか、それぞれの通販枠と鳴った電話の数も確認できるようになりました。これで歩留まりをどう上げていくのか、根拠に基づく戦略が立てられるようになったのです。

わかりやすいのは、新たな商品を新たな枠で放送する場合です。どれくらい電話がかかってくるのかを、これまで蓄積したデータに基づいた予測が出るので、枠の価格も相応か判断でき、コールセンターの人員も適正に配置できるようになったのです。

テレビ通販での成功例

テレビ通販への新規参入の成功例も出ています。シャツやパンツを通販する「りらいぶ」と、おせちやカニなどの特産品を扱う「スカイネット」です。

「りらいぶ」は去年2月にテレビ通販を始めました。当初は4枠でしたが、今年6月には441枠に急伸しました。わずか14カ月で最大手の一つ、キューサイ社の半分くらいという躍進です。

「スカイネット」も負けていません。21年の821枠が23年には2033枠と3倍近く増えました。売り上げや利益が伸びないと、当然放送枠を増やしません。データに基づき次々に新たな枠に手を伸ばし、EC並みの成長を遂げたのです。

DXで躍進したテレビ局もあります。この局の23年度の売上高は「ordr」導入の3年前と比べて7%増、営業利益80%増を達成しました。データに基づいた営業や、さまざまな工夫により放送枠の単価を管理した結果でしょう。またピンポイントで顧客を見つけ、その顧客についてデータ分析を加え、より良い提案ができるようになった点も見逃せません。

データ武装でテレビ通販は、まだまだ成長の余地があると言えそうです。