石破派は事実上機能していない

若手の議員は、選挙になると、知名度のある有力議員に応援を依頼する。依頼されたほうは、陣中見舞いを持って選挙区に入り、応援演説をする。その結果、当選が決まると、若手議員はその先輩議員に恩義を感じる。こうして自分のフォロワーが増えていき、派閥を形成できるようになる。

石破派(水月会)はあるが、事実上機能していない。なぜかというと、人が集まらないからである。もともと機能していなかったので、わざわざ派閥を解散するまでもなかった。

今回の総裁選で、9月2日、石破は金融所得課税の強化を打ち出した。金融所得には現行20%の分離課税であるが、これは富裕層優遇だという批判があり、それを念頭に置いた上での発言であった。

しかし、「貯蓄から投資へ」という今の政府の方針に反するとして、他候補はあまり賛成していない。

経済や金融については、石破の得意分野ではない。それをどのように克服するのか。

河野太郎は「変人」

河野太郎は、2009年9月に党総裁選に初挑戦し、2015年10月に第3次安倍改造内閣で国家公安委員長として初入閣した。

2017年8月には外相、2019年9月に防衛相、2020年9月には菅内閣で行政・規制改革相に就任。

2021年1月からコロナウイルス、ワクチン接種担当を兼務し、2021年9月に2度目の総裁選出馬、2022年8月にはデジタル相に就任している。

私が国会議員のときに、河野は「変人」として目立っていたのをよく覚えている。原発推進派が多数の自民党の中で、原発反対を唱えていたからだ。

河野はその後脱原発論については修正し、「立て替え論」を展開している。だが、河野の主張がどこまで有権者の理解を得られるのか疑問だ。

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原発推進派が多数の自民党の中で、原発反対を唱えていた(※写真はイメージです)