自民と立憲民主の「対照的な動き」
9月に実施される自民党総裁選と立憲民主党代表選に向けて政界はどんどん慌ただしくなっている。
だが、両者を比べると、自民党総裁選では若手中堅が候補者を擁立するなど動きが活発であるのに対して、立憲代表選はベテラン勢の動向が中心となり、若手中堅の動きは鈍くなっている。
8月19日の自民と立憲の両党の「永田町の動き」は非常に対照的となった。
自民では当選4回の小林鷹之前経済安保大臣が総裁選への出馬を表明。
「私が派閥に関係なく、いまこの場にこうして立っている事実こそが、自民党が本気で変わろうとする象徴になる」と述べ、裏金問題で「政治とカネ」の舞台となった派閥からの支援は一切求めないとしたうえで、積極財政や先進国とグローバルサウスを橋渡しする外交、経済安全保障の強化や憲法改正による自衛隊明記などを訴えた。
対して立憲では、若手中堅グループである「直諫の会」を率いる重徳和彦衆院議員が野田佳彦元首相に対して立候補を要請。野田氏は「熟慮する」と述べるにとどめたが、ベテランが若手中堅の思いを受け止める形となった。
若手中堅の中から候補者を擁立した自民と、若手中堅がベテランに思いを託した立憲。
なぜこのような違いが両者に生まれてしまったのか。
その原因は立憲代表選の「仕組み」そのものがある。
代表戦に出馬するための「高いハードル」
立憲代表選は国会議員ならば誰でも出馬できるわけではない。
党の代表選規則には、候補者は「国会議員の20人以上25人以下の推薦状を添えて、代表選管に届け出ることを要する」と定められており、出馬するには国会議員の推薦人を20~25人集めなければならない。
同様の規定は自民党総裁選にもあり、総裁公選規程には「党所属国会議員20人により、総裁の候補者として推薦される者とする」と書かれている。
これらの仕組みは候補者の乱立を防ぐために決められているわけだが、この推薦人集めは出馬に意欲を示す議員にとって大きなハードルとなる。
20人の仲間を党所属の国会議員から集めるだけなら簡単だと思うかもしれないが、この推薦人は公表されるため、誰が誰を応援したかが一目瞭然となる。
さまざまな権力闘争が渦巻く政界では、過去に別の総裁候補の推薦人になっていたということで、党トップから人事面で冷遇されてしまうことも少なくない。
そのため、推薦人になるということは、その候補者と一心同体となり、負けた時のリスクを引き受けるということにもなるのだ。