立憲の若手中堅も動いてはいるが…

その推薦人集めだが、自民よりも立憲のほうが「ハードルが高い」と言える。

なぜなら、自民の国会議員は衆参合わせて369人もいるのに対して、立憲はたったの136人しかいないからだ。

立憲関係者は「20~25人の推薦人を集めるという規則は、民主党、民進党の時代からそのまま引き継いだものだ。しかし、民主党勢力の分裂や日本維新の会の躍進などで党の規模が縮小しているいま、本当ならば推薦人の数も減らしたほうが良かったのだが、そのままの状態で代表選の時期になってしまった」と明かす。

しかも、今回は現職の泉健太代表に対して枝野幸男前代表が返り咲きを期して出馬するなど、勢力争いが激しくなっている状態だ。

その中で、立憲の若手中堅が推薦人を20人集めるのは、困難となってしまったのである。

立憲も若手中堅の動きがまったくなかったわけではない。

冒頭に登場した若手中堅グループ「直諫の会」は8月2日に記者会見をし、少子化対策や脱炭素などに取り組む企業を国として支援して成長産業とする「インパクト立国」なる国家ビジョンを発表。

会長である重徳氏は泉代表について「若さという強みを発揮できているかというと、物足りないところがある」という認識を示した一方、ビジョンと代表選の関係については「どのように扱うかは仲間と共に検討したい」と述べるにとどめ、会としてビジョンを掲げる候補者を擁立するか否かは明言しなかった。

政局の中心にいる最重鎮・小沢一郎氏の思惑

そもそも直諫の会はメンバーが18人しかおらず、会だけで推薦人を確保することはできない。

また、自民の派閥とは違って、他のグループとの掛け持ちを容認しているため、中には「国のかたち研究会」(菅直人グループ)や「新政権研究会」(泉グループ)などに所属している議員もおり、18人全員が一致した行動をとれるわけでもない。

結局、直諫の会からの出馬の道筋が立たない中、最重鎮の小沢一郎氏や野田氏が第三の候補者擁立を模索する政局の中心となっていき、最終的には野田氏擁立の流れができていったわけである。

政局の中心にいる最重鎮・小沢一郎氏
政局の中心にいる最重鎮・小沢一郎氏(写真=kyouichi sato/CC-BY-3.0/Wikimedia Commons

なお、野田氏擁立論が大きくなっていった背景には維新との連携に期待する動きがある。

立憲内でも保守的で知られる野田氏は、裏で馬場伸幸氏と会食をするなど維新との関係は良好で、8月23日には維新が開催した政治改革に関する特別勉強会にも招かれた。

小沢氏は共産党との選挙協力に積極的な立場をとるが、そのうえで野田氏の支援に動いているのは、選挙協力の関係を維新にまで広げようという思惑があるのだ。

もちろん、共産から維新まで幅広く野党共闘をするというのはあまり現実的ではないが、野田氏を代表とすることで維新との関係を改善し、次期衆院選に向けて少しでも各選挙区で自民と1対1の構図を作れるようにしていこうというわけだ。