裏金問題の影響で候補者が乱立

ところが、小選挙区制では1選挙区から1人しか党に公認されないため、派閥の意味がなくなってしまった。

今回の裏金問題でほとんどの派閥は解消してしまった。その結果、総裁選立候補者が派閥の領袖ではない状況が目立っている。

今回は茂木派から茂木敏充と加藤勝信が立候補した。岸田派からは、林芳正と上川陽子が手を挙げている。こんなことは中選挙区制下ではありえないことであった。

9人もの候補者が立候補した背景には、以上のような事情がある。だが、候補者の数が多ければよいというものではない。問題はその質である。

「石破はケチ」と評判が立ってしまっている

世論調査で人気ナンバーワンは石破茂か小泉進次郎である。防衛大臣、農水大臣など閣僚のほか、幹事長など党の役職を務めてきた経験からすれば、石破茂には総理大臣になる資格が十分にある。

ただ党内で人望がないことが問題だ。党員票と議員票が同じ重みを持つ1回目の投票では勝つかもしれないが、決選投票では議員票の重みが増すので、石破は敗退してしまう。2012年9月の総裁選がまさにそうであった。

石破の不人気の理由の一つは、政策について学者的な細かい議論をしすぎる点にある。とくに自ら専門分野と自負する防衛問題について、その傾向が強い。

また、同僚や後輩と飲食しながら腹を割って話すこともあまりなく、ケチだという評判がたってしまっている。

手のジェスチャーによる拒否
「石破はケチ」と評判が立ってしまっている(※写真はイメージです)