正常な細胞まで傷つける「壊しすぎ」状態に

ただし、それはウイルスなどが体内に入ってきた緊急事態での話です。サッと敵の居場所に集まりサッと退治するのが理想ですが、ヨボヨボの攻撃免疫はなかなか攻撃対象を破壊しきれません。そのため、炎症性サイトカインが出っぱなしになってしまうのです。

攻撃免疫からすると、四六時中呼び出しがかかり続けているようなものですから、すっかり疲労困憊に。それでも休むことなく働き続けるしかなくなります。

こうして多数の攻撃免疫が延々と破壊を続ける状態が続くと、うっかり正常な細胞まで傷つけたり壊したりするように。結果的に体内には、ウイルスや細菌といった異物の「壊し損ね」や、正常な細胞まで壊す「壊しすぎ」が至るところに発生してしまうのです。

免疫暴走が起きる原因② 体内がゴミ屋敷になる

攻撃免疫のターゲットは、細菌やウイルスなどの外敵や、傷ついたり古びたりした細胞だけではありません。がん細胞や太りすぎた脂肪細胞、さらには活性酸素などまで含まれます。活性酸素というと悪者のイメージが強いですが、私たちが消化した食べ物を体に取り込む「代謝」はもちろん、免疫細胞が外敵を殺す際にも使われる体に不可欠なものです。

体内のゴミが増え続け、がん細胞が生まれることも

しかし殺傷能力があるということは、正常な細胞まで傷つけてしまうリスクもあるということです。活性酸素があまりに増えすぎると、成果より体内におけるダメージのほうが大きくなってしまいます。攻撃免疫の攻撃対象は、このような体内のあちこちに生じた「処理に困ったものたち」です。いわば体内におけるゴミすべてだと思ってください。

40代以降は、この体内のゴミが急速に増えがちです。まず、攻撃免疫の攻撃力が落ちて病原体が増えやすくなりますし、この年代はストレスを抱えがちで、特にビジネスパーソンは会食や運動不足も重なり脂肪を溜め込みやすい。すると太りすぎた脂肪細胞も増えていく。喫煙すれば活性酸素も増えてしまう。

活性酸素は細胞や血管を傷つけ、そこからがん細胞を発生させてしまうこともある。こうして体内のゴミが増える一方になる、というわけです。