社長の意図を社員たちに腹落ちしてもらう

OFCの業務は俯瞰して見ればシンプルです。流通網が整備され、店舗にはPOSがあるため、やるべきことはPOSデータを見て、死に筋を排除し、売れ筋を売る、これに尽きます。ですが、先に挙げたように、数字の分析だけをしていては顧客の心理を動かし、お客さんに商品を選んでもらうことはできません。

戦略には明確な意思がなければなりません。具体的には、「この戦略はどんな意図をもって作り上げられているのか」「どんなお客さんのどんなお困りごとを解決するためにこの商品は開発されているのか」、つまり「なぜその戦略が必要なのか」を、現場を指揮するOFCが理解しておく必要があります。

人はなぜやるのかを心から理解した時、いつも以上に徹底した行動ができます。例えば、ただ単に「売上を伸ばしたい」と思っている人と、「この商品を売ることは世の中の困っている人を助けることにつながる」と思っている人では、行動の徹底度合いが変わってくることは容易に想像がつくのではないでしょうか。

「何をやるか」だけではなく、「なぜやるのか」まで徹底していた。これがセブン‐イレブンの強さの源泉だったと言えます。

コストをかけずとも、戦略の浸透は可能

以上見てきたように、鈴木敏文氏の独自の商売観に基づくデータベースマーケティング、需要創造、徹底力の3つの要因がセブン‐イレブンの成功の要因と言えます。これらの要因を理解し、自社のビジネスに応用することで、他の企業も同様に成功を収めることができるのではないでしょうか。

データを活用して死に筋商品を把握し、在庫管理を効率化することが重要です。また、顧客の心理を理解し、新たな需要を創り出すアプローチも必要です。例えば、顧客の購買履歴を分析し、顧客が必要とする商品やサービスを提供することで、売上を増やすことができます。さらに、徹底力を強化するためには、社員に「何をやるか」だけではなく「なぜやるのか」を浸透させることが大切です。

鈴木氏の時代とは違い、今はオンラインのミーティングも進化しました。リアルで集めずとも戦略の浸透は可能です。その際には、あれをやれ、これをやれと「何をやるのか」の徹底だけではなく、「なぜそれをやらねばならないのか」を問うことで顧客、企業、世の中にはどんな良いことがあるのかを浸透させることが効果的です。

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