議会も「強制するものではない」と追及
「4割出勤」には、職員だけでなく、最大会派の自民党をはじめ、公明党、ひょうご県民連合も強く反発している。
2月21日の県議会代表質問で、上野県議は「知事から職員の4割出勤の方針が示されてから、これまで15人の議員が質問や指摘を行っている。その実現の可能性は、多くの県議だけでなく、多くの県職員の疑問や危惧の中に答えがある」などと、あらためて斎藤知事の進める「4割出勤」に疑問を投げ掛けた。
さらに「テレワークを実施するのは職員一人ひとりの意思によるべきで、決して命令するものではない。県庁舎のキャパ(収容能力)を理由に、半ば強制的にするものではない。職員の働き方の維持改善を図る観点から、多くの職員の声を把握、理解した上で対応していく必要がある」などと働き方改革の趣旨に反しているとも述べている。
これに対して、斎藤知事は「若い職員を中心に『ワークライフバランスの観点から、テレワークのさらなる活用をしてほしい』『本庁職員だけでなく、地方機関でもどんどんやってほしい』という声もあったぐらいで、課題解決を一つずつしていきたい」などと「4割出勤」を推進する姿勢を変えなかった。
県議会、県職員の不満、疑問が斉藤知事に集中していたことにも納得がいく。
元西播磨県民局長が投げつけた告発文書“爆弾”が破裂する下地がすでにつくられていたことになる。
「おカネの疑惑」は既に議会で取り上げられていた
さらに驚くべきことに、元局長が糾弾した告発文書の内容を、すでに2月県議会で、上野県議が取り上げていたのだ。
「職員は知事を必死に支えようとしている。それこそ阪神優勝パレードの警備費確保のクラウドファンディングがなかなか集まらず、業界団体等の協賛お願いを副知事がしていることを承知しているか、部下は必死に知事を支えようとしていることを理解しているか」「副知事や県OBまで動員している知事の政治資金パーティーも同じだ」などと述べていた。
一方、告発文書には、昨年11月23日の阪神・オリックスの優勝パレードのクラウドファンディングによる費用が集まらないので、信用金庫への補助金を増額させてキックバックさせたとある。
寄付集めに奔走した産業労働部課長はうつ病を発症して、病気休暇中であり(後に死亡)、その陣頭指揮に副知事が当たったことも挙げていた。
また2023年7月30日の斎藤知事の政治資金パーティーで、副知事らが県内の商工会議所、商工会に補助金削減をほのめかせて、パーティー券を大量に購入させたとある。
兵庫県信用保証協会の保証業務を利用して、政治資金パーティー券購入を依頼させたともある。
上野県議は、その詳しい手口までには触れていないが、いずれも金絡みの問題に、副知事らが関与していることを明らかにしていたのだ。
つまり、元西播磨県民局長が告発文書で指摘した内容は、県議会はじめ県職員らも承知済みだったわけである。