職員のほとんどが「4割出勤」に否定的
知事の方針に沿って、昨年6月からことし2月にかけて、将来の県庁をイメージしたモデルオフィスを生田庁舎に設けたほか、職員の席を固定しない「フリーアドレス」を導入して、部局ごとに1カ月間の交替で検証を進めてきた。
ただ目標の出勤率4割を達成できたのは、参加した15部局のうち4部局だけだった。全体の出勤率は平均45%程度にとどまり、目標には及ばなかった。
さらに、3月に発表された職員約2300人のアンケート結果でも、約7割が在宅勤務のテレワークで業務効率が「低下した」と回答している。
在宅勤務の希望日数では、「週2日以下」が約8割を占め、「4割出勤」の達成に必要な「週3日以上」は2割にとどまった。
ほとんどの職員が週3日の在宅勤務を希望しなかったのだ。
理由について、「他職員との気軽な相談が困難で、対面で話したい」「自宅に仕事環境が整っていない」などを挙げていた。
つまり、ほとんどの県職員たちは「4割出勤」には否定的だった。
それでも、斎藤知事は何としても職員の出勤率4割を目指す考えに変わりなかった。
「井戸色」に染まった県職員との衝突
そこまでして斎藤知事が「4割出勤」にこだわる理由は、5期20年続いた井戸前知事との違いを出すためにほかならない。斎藤知事は就任直後、意欲ある職員10人ほどを集めて「新県政推進室」を設置したが、目玉となる改革は行われていなかった。
全国初の数値目標を定めた「4割出勤」は斎藤県政の特徴を出すにはかっこうのテーマだったはずだ。何としても成し遂げたかったのだろう。
だが、「井戸色」に染まった職員を動かすのはそう容易ではない。46歳の新知事と年上の県幹部との間で摩擦が生じることも多かっただろう。パワハラは決して容認できないが、報じられているような職員との衝突や過度な叱責の中には、こうした背景のものもあるかもしれない。