親が「塾にお金を払っている」は絶対ダメ
クラスを変える判断はかなり難しく、「まだ可能性がある」と塾側から言われれば、親は「もう少し頑張らせたほうがよいのではないか」と悩みます。
先ほどのNさんも「私は上の子で一度中学受験を経験していたので、今回の判断ができたけれど、初めてだったら決断できなかったかもしれない。もう少し子どもの様子を把握して相談に乗ってほしかった」といっていました。
特に大手塾の場合は、保護者対応が手薄になりがちなところがありますが、遠慮していてはいけません。気になることがあったら相談をしましょう。
私も、子どもが中学受験をしたときは、面談の他に何回となく相談に行きました。
長女は大手塾だったので、通常の窓口は教室長の先生でした。6年生の11月に成績が下がったときに相談に行くと、「それならこの問題集を追加しましょう」と言われたことがあります。
親から見てもこれ以上の課題を追加するのは無理だと思ったので、実際に娘のクラスを担当している先生にアポを取って相談し、逆に必要な問題を抜き出してもらい、それだけを行うことにしました。このときは結果的に成績を持ち直すことができました。
次女のときは小規模塾だったので、学習に関しては担当の先生と直接やりとりができましたが、メンタル的な相談は、子どもが懐いていた別の先生にしていました。
受け身でいては、こういう対応はしてもらえません。塾とうまく付き合うためには、積極的に塾に相談し、関わっていく姿勢が重要です。塾と親は一つのチームなのですから。
中学受験の場合には特に、子どもと塾の先生の関係は特別なものがあります。親の言うことは聞かないのに、子どもは先生が大好きで、その先生が言うことなら聞くという場合もあります。ですから一人でも、何かのときに相談できる先生がいると心強いですよ。
塾の先生に味方になってもらうには、日頃から信頼関係を結んでおくことが大切です。
お金を払っているんだからこれだけやってもらって当然という態度で接する、反対に相手はプロだからと遠慮して何も言えないというのでは、いいチームにはなれません。塾の役割は勉強を教えることだけではないのです。
塾の先生との信頼関係をつくる親の声かけ
大切なのは、課題を共有し、一緒に考える相談相手という意識を持つこと。たとえ不満があったとしても、子どもがお世話になっている先生ですから、クレームを言うのではなく、あくまでも相談です。
これは塾だけでなく、学校でも同じですが、子どもを預けている人との信頼関係ってすごく大事です。先生も人間なので、えこひいきするつもりはなくても、距離が近い人のことは気になりますよね。
当たり前のことですが、信頼関係をつくるためには、相手の立場を考慮してコミュニケーションを取ることです。先生が手隙の時間に電話をかける、要点はまとめて話すなど、ちょっとした気遣いができるかどうかで、相手の対応も変わります。
また、送迎の際にちょっとでも顔を出して挨拶したり、いつもありがとうございますと感謝の言葉を伝えたりしましょう。
塾の先生とよいチームになることで、中学受験は最高のチャレンジになるはずです。