約80%の人に「ビタミンD不足」が認められる
この特殊な性質から、ビタミンDは「一種のホルモン」として世界中のアンチエイジング研究者が注目をする、重要な栄養素です。
うつの予防だけでなく、体の炎症を抑え、骨を強くしたり、筋力を保持したり、最近ではがんの予防や進行を防ぐ効果についても研究されています。
ビタミンDは、日光に当たることで皮膚で生成されます。また、食事からの補給も可能で、特に鮭や青魚に豊富です。
「そんなに簡単なんだ!」と思われるかもしれませんが、いずれもなかなか頻度を上げることが難しい習慣のため、現代人は慢性的なビタミンD不足に陥っています。年々、うつ病の発症率が高まっているというのも、ビタミンD不足が原因の一つかもしれません。
当院の外来でも、初診時検査でビタミンDを調べていますが、約80%の人にビタミンD不足が認められています。
年齢とともに、皮膚で作られるビタミンDの量は減っていきます。また、加齢に伴って食事の全体量も減ってくるため、必然的にビタミンDの血中濃度は低下しがちに。
日光浴や食事以外の方法で補充するためには、サプリメント(ビタミンD3)の活用がおすすめです。
日本の栄養学は20年遅れている
ここまで働き盛りの皆さんが直面しやすい症状をピックアップしながら、さまざまな話を続けてきました。
血圧にしろコレステロールにしろ、おそらく皆さんがこれまで「常識」だと思っていた対処法が、実は思い込みにすぎなかったことがわかってきたのではないでしょうか。
なぜ、このようなことが起こるのか。一つは、あらかじめお伝えしていた通り、日本の医学部では栄養を学ぶ機会を設けていないからです。医師として患者との触れ合いを通して予防医療の重要性を知り、栄養医学の存在と出合った者だけが自分の意志で学び、初めて身につくものなのです。
近所の病院で栄養について相談にのってもらおうと思っても、なかなかうまくはいきません。なぜなら、日本の栄養学は20年は遅れているからです。
日本ではよく、健康でいるための食事術として「カロリー」を用いますが、そのたびに私は「ナンセンスだな」と感じています。なぜなら、食べたものすべてが燃えるわけではないと考えているからです。人の体は、ブラックボックスと同じです。個人によって状態は大きく異なりますし、その日によっても調子は変わる。目安として使うことはありますが、カロリーの高い・低いだけでチョイスを決めるのは、いかがなものでしょうか。