相手に矢印を向けることで会話がうまくいく

続いて、4位以下から、注目の書籍をご紹介します。第4位は『なぜか惹かれる人の話し方 100の習慣』でした。NLP心理学を中心に、コーチング、カウンセリング、マインドフルネス瞑想などの手法を統合し、人間関係をより良好なものにする話し方や聞き方の本を多く上梓してきた藤本梨恵子さんが、「なぜか惹かれる人」が実践する話し方を教えてくれる一冊です。

藤本梨恵子『なぜか惹かれる人の話し方 100の習慣』(明日香出版社)

話し方の基本として真っ先に意識したいのは、「誰しも最大の関心事は自分自身である」ということ。お互いに自分のことばかり気にしていると、会話がかみ合わなくなってしまいかねません。自分への矢印を抑えて、相手に矢印を向けてみましょう。

ここでは、本書に紹介されている、わかりやすい会話例を取り上げましょう。

娘が母に「やっと退院できたけど、手術痕が痛くて、夜も眠れないの」と嘆いたとします。ここで母親が相手に矢印を向けて「大丈夫?」と言えば、娘は共感されたと感じ、会話は続いていくでしょう。一方、母親が「私、昨日から小指にササクレができちゃって、痛くって……」と言うと、会話がかみ合わなくなってしまうかもしれません。

自分のことばかり話すのではなく、相手の関心事を話題にするように心がけてみませんか? そうすれば、自然と会話が盛り上がり、相手はあなたに好感を抱くでしょう。

「数学的」なアプローチでビジネススキルを上げる

第6位の『「数学的」な仕事術大全』にもご注目ください。

深沢真太郎『「数学的」な仕事術大全』(東洋経済新報社)

本書の著者は、ビジネス数学教育家として活躍し、『数学的思考トレーニング』や『数学的に考える力をつける本』などのベストセラーを連発する深沢真太郎さん。本書は、「数学的に考える」「数学的に文章を書く」「数学的に話す」「数学的に資料作成する」……など、数学的な仕事術をたくさん紹介する一冊です。

「数学的に考える」例として取り上げたいのが、現状を正しく把握し、改善アクションを決める方法です。

たとえば、ある化粧品ブランドの売上高を4年分比較したところ、ほぼ横ばいで推移していたとします。その数字を眺めているだけでは、改善につながる洞察は得られないでしょう。

そのようなときに効果を発揮するのが「分解」です。

売上高をメンズ製品とレディース製品に「分解」してみると、レディース製品は年々減少傾向にある一方、メンズ製品は増加傾向であることに気づくかもしれません。そうすれば「メンズ製品に力を入れる」「レディース製品の改善を図る」といったアクションにつなげられます。

もし、あなたのビジネススキルが伸び悩んでいるように感じるなら、その原因は「数学的」に考えて行動する力が不足しているからかもしれません。学生時代に数学が苦手だったとしても大丈夫。本書を読んで、数学的に考えて行動する技術を身につけ、ビジネスパーソンとしてレベルアップしませんか。