毎月、新たに発売されるビジネス書は約500冊。いったいどの本を読めばいいのか。読書家が集まる本の要約サービス「flier(フライヤー)」で、7月にアクセス数の多かったベスト20冊を、同サービスの編集部が紹介する――。
膝の上に本を置いて読む人
写真=iStock.com/patpitchaya
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第1位:『賢い人のとにかく伝わる説明100式』(深谷百合子著、かんき出版)
第2位:『話し方の戦略』(千葉佳織著、プレジデント社)
第3位:『「よい説明」には型がある。』(犬塚壮志著、日本経済新聞出版)
第4位:『頭のいい人だけが解ける論理的思考問題』(野村裕之著、ダイヤモンド社)
第5位:『モヤモヤを言葉に変える「言語化」講座』(ひきたよしあき著、PHP研究所)
第6位:『疲労とはなにか』(近藤一博著、講談社)
第7位:『となりの億万長者が17時になったらやっていること』(嶋村吉洋著、PHP研究所)
第8位:『改訂版 お金は寝かせて増やしなさい』(水瀬ケンイチ著、フォレスト出版)
第9位:『読む・聞く、まとめる、言葉にする』(松尾美里著、フォレスト出版)
第10位:『頭がいい人のChatGPT&Copilotの使い方』(橋本大也著、かんき出版)
第11位:『なぜか話しかけたくなる人、ならない人』(有川真由美著、PHP研究所)
第12位:『「ここだけの話」を聞く技術』(井手隊長著、秀和システム)
第13位:『中流危機』(NHKスペシャル取材班著、講談社)
第14位:『幸運の教科書』(武田双雲著、三笠書房)
第15位:『チームレジリエンス』(池田めぐみ/安斎勇樹著、日本能率協会マネジメントセンター)
第16位:『アイデアの着眼点』(小川仁志著、フォレスト出版)
第17位:『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』(三宅香帆著、集英社)
第18位:『持たざる者の逆襲』(溝口勇児著、幻冬舎)
第19位:『悪口ってなんだろう』(和泉悠著、筑摩書房)
第20位:『シン・スタンダード』(谷口たかひさ著、サンマーク出版)

※本の要約サービス「flier」の有料会員を対象にした、2024年7月の閲覧数ランキング

相手に「納得して動いてもらう」説明のコツ

今月の第1位は『賢い人のとにかく伝わる説明100式』でした。ソニーグループ、シャープで技術職・管理職として勤務していた際、専門用語をかみ砕いて説明する能力が評価されて活躍の幅を広げた深谷百合子さんが、さまざまなシーンで使える「説明」のポイントを教えてくれる一冊です。

深谷百合子『賢い人のとにかく伝わる説明100式』(かんき出版)
深谷百合子『賢い人のとにかく伝わる説明100式』(かんき出版)

相手との行き違いや勘違いを防ぐために説明に取り入れたいのは、次の3つのフレーズ。

1つ目は「つまり、○○ということです」。例えば、「中国のわが家のシャワーとトイレは同じ空間にあり、トイレの床とシャワーの床は仕切られていません」と言うだけでなく、「つまり、シャワーを浴びるとトイレの床も水浸しになってしまうのです」と続けると、よりイメージが伝わりやすくなります。

2つ目は「例えば」「たとえるとしたら」。「私たちは普段、多くの機械の恩恵を受けて暮らしています」と言うよりも、「私たちは普段、多くの機械の恩恵を受けて暮らしています。例えば、洗濯機や電子レンジといった家電製品で家事を楽にし……」と言ったほうが、イメージが湧きやすいでしょう。

3つ目は、「解釈」や「感情」を説明する「具体的には」「詳しく言うと」。「書くことに自信がありませんでした」で終わらせるのではなく、「具体的には、A4の紙1枚の企画書を書くのに、2、3時間かかっていました。そうして作った企画書も、上司からダメ出しされていました。でも、コツがわかったら、数十分で書けるようになり、上司からもほめられるようになりました」と続けると、変化が伝わりやすいはずです。

著者の深谷さんは「相手に納得して動いてもらうには、相手を観察し、自分との間にある『違い』を知り、相手の視点に立ってみる。そのコツをまとめたのが本書です」と語っています。「伝わる説明」をマスターしたいなら、ぜひ読んでみてください。